セルモーターとオルタネーター:車のエンジンを支える要素”とパワーステアリング機構について

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エンジンの周辺には、エンジンの回転を利用して駆動する重要な装置が取り付けられています。その中でも、エンジンの始動を担当するスターターモーターと必要な電力を発生させるオルタネーターが装備されています。

スターターモーターは、エンジンの起動時にクランクシャフトをモーターの力で回転させ、エンジンを始動させる装置です。スターターモーターがないと、エンジンを始動することができません。

一方、オルタネーターは、エンジンの回転を利用して電力を発生させる装置です。オルタネーターが機能しない場合、バッテリーに充電が供給されず、走行中にバッテリーの充電が切れ、走行不能に陥る可能性があります。

エンジンを始動させるセルモーターとは?セルモーターの役割

セルモーターは、エンジンとトランスミッションの間に取り付けられ、クランクシャフトに取り付けられたフライホイールの外周に取り付けられた歯車とセルモーターの歯車を組み合わせて、モーターの回転を伝えることでエンジンを始動させます。

セルモーターは、イグニッションスイッチのセルモーターのオン電流で動作するリレーを介してバッテリーから直接電流を受け取ります。セルモーターへの電力供給用のケーブルは最も太く、セルモーターからアースにつながるアース線も太いケーブルで接続されています。このように太いケーブルを使用することで、セルモーターが回転する瞬間にほとんどの電力がセルモーターに供給されます。そのため、一瞬メーターの照明が消えることがあります。

バッテリーが劣化して充電容量が低下すると、セルモーターの回転に必要な力が不足し、エンジンの始動ができなくなることがあります。

この問題の症状としては、セルモーターを回しても、”カチン”という音がしてメーターや他の照明が消えてしまう、”カタカタカタ”という音しか聞こえない、何の音もせずに照明だけが消えるなどがあります。これらの症状はバッテリーが放電していることを示し、バッテリーの交換が必要です。

特に寒冷地での症状がよく見られ、緊急時には60度ほどのお湯をバッテリーにかけることで一時的に始動できることもあります。また、ロードサービスを呼ぶと、ブースターケーブルを使用してエンジンを始動してもらえます。

さらに、バッテリーを交換しても同様の症状が続く場合、セルモーター本体の故障が考えられます。特にアイドリングストップ機能を搭載した車両では、セルモーターに大きな負荷がかかり、故障の発生率が高くなる傾向があります。

オルタネーターの役割と使用条件に応じたバッテリーの注意事項

オルタネーターは、エンジンの回転をベルトを介して駆動し、発電します。自動車は運転中にエンジンの制御、ライト、電装品、カーナビ、オーディオなど多くの電力を必要とします。絶えず発電を行わないと、バッテリーが消耗し、最終的には車が停止してしまう可能性があります。

自動車のオルタネーターは直流発電機で、エンジンの回転数に応じて発電電圧が上昇します。通常、自動車で使用される電圧は12Vから13Vの範囲ですが、エンジンの回転数に合わせて電圧が変動するのは好ましくないため、ボルテージレギュレーターが搭載されています。通常、このレギュレーターはエンジンの回転数が約3000回転近くになると13Vに調整され、それ以上の回転数でも出力電圧が13Vに制御されます。

オルタネーターの故障は、発電電圧が低下したときにメーター内のバッテリー警告灯が点灯するように設計されています。
1か月に数回しか乗らない場合や夜間走行が多い場合など、充電が不足しがちな使用条件では、バッテリーの充電量が低下しやすいことに留意する必要があります。

 

油圧制御のパワーステアリングとは!電動パワーステアリングのバッテリー関連の注意事項

油圧制御のパワーステアリングを備えた車両には、油圧を生成するためのポンプが装備されています。通常、これらのポンプはエンジン補器の一番上に配置されています。ポンプからホースが伸びており、オイルのリザーブタンクも設けられています。そのため、エンジンルーム内を見れば簡単に見つけることができます。

近年、電動ステアリングが普及しており、油圧ステアリングを持たない車両が増えています。電動ステアリング車両では、エンジンを起動するときにメーター内に「ハンドルのマークに!がついたオレンジの警告灯」が一瞬点灯することがあります。これが電動ステアリングの兆候です。電動ステアリングには、ステアリングの奥に駆動用モーターが取り付けられ、モーターの駆動力によって操舵力が軽減されます。

油圧式ステアリングでは、故障の多くはオイル漏れが主要な問題ですが、ホースやパイプの接合部からの漏れは稀です。主にポンプ本体やステアリングギアボックス本体からの漏れが起こります。ポンプ本体の漏れは、駆動用プーリーが出ているシャフトの根元のオイルシールから発生するため、目視で確認できます。

ステアリングギアボックスの場合、車両の下側からギアボックスを見ると、タイヤを動かすシャフトの根元のオイルシールからの漏れが一般的ですが、ダストシールが付いているため見つけにくいことがあります。ダストシール近くにオイルにじみがある場合、オイル漏れの疑いがあります。油圧パワーステアリングは、ステアリングを回して長時間保持した場合、高い油圧がかかり続け、オイル漏れの原因になります。

電動パワーステアリングの場合、バッテリーが不足して電圧が低い場合など、モーターの駆動電圧が不足すると、ハンドルを急に動かすと一時的にハンドルがロックしたように動かなくなることがあります。バッテリーが上がってしまった場合、ブースターを使用して始動し、修理工場まで運転する際には十分な注意が必要です。

まとめ

スターターやオルタネーターは、車が走行するために大変重要な装置です。
とくに、現在の車は電子制御機構の増加、運転支援機構、カーナビなど電装部品が多く装着されており電気使用量が増えています。
また、車両重量を軽くするためにバッテリーが小型になっています。

  • エンジンの周辺には、重量な機能を持つ補器装置がついています。
  • エンジンの始動はセルモーターで直接エンジンを回して始動しています。
  • バッテリーが放電していると、エンジンの始動が出来なくなります。
  • オルタネーターで、必要な電気を発電してバッテリーに充電しています。
  • 長期間運転しない、夜間ばかり乗っていると充電量が不足します。
  • 油圧式のパワーステアリンでは、油圧を発生させるポンプがついています。
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