自動車が動くためには、エンジンがスムーズに作動することがとても重要です。 エンジンには、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、そして最近ではバッテリーEVが登場しています。 ハイブリッド車は、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせています。 ガソリンエンジンには、ピストンの上下運動をクランクシャフトで回転運動に変換するレシプロエンジンや、ローターの回転運動をエキセントリンクシャフトで伝えるロータリーエンジンがあります。 ただし、ロータリーエンジンはマツダの一部の車種にしか搭載されておらず、一般的にはレシプロエンジンが主流ですね。
ガソリンエンジンが動く原理を理解しよう。
エンジンの動作を簡単に説明すると、まずエアクリーナーケースから吸い込まれた空気はエアフィルターを通ってホコリやゴミが取り除かれます。その後、エアクリーナーを通った空気はエアインテークホースを経由してスロットルボディーに送られます。
スロットルボディーには、アクセルの開度に応じて開閉するスロットルバルブがあります。アクセルを踏んでいないときはスロットルバルブが完全に閉まっているため、エンジンが停止してしまいます。そのため、アイドリングを維持するためにスロットルバルブの前にアイドリングコントロール用の吸気通路が設けられています。アイドリング時には、この通路を通って空気が供給されます。
スロットルボディーを通過した空気は、インテークマニホールドを経由し、インテークバルブが開いたときに燃焼室に吸い込まれます。同時に、インジェクターから燃料が噴射され、吸気中の空気と混ざり合って混合気となります。
ピストンが上昇し、混合気が高圧で圧縮された後、点火プラグから火花が飛び、爆発が起こります。この爆発によってピストンが押し下げられます。
燃焼が終わった排気ガスは、ピストンが上昇する際に排気バルブが開き、そこからエキゾーストマニホールドを通ってマフラーに運ばれます。エキゾーストマニホールドの後ろには、有害な物質を取り除く触媒装置が装着されており、排気ガスの浄化が行われます。
そして、マフラーには排気音を抑えるためのサイレンサーが装備されています。サイレンサーによって排気音が軽減された後、排気は放出されます。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの大きな違いは、点火系がないことと燃料が軽油であることです。
ディーゼルエンジンは、混合気を作らずに吸気した空気のみを高い圧力まで圧縮します。高圧縮によって空気は非常に高温になります。そして、高温の空気に直接軽油を噴射することで爆発させる仕組みです。
この高圧縮の特性により、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて出力トルクが大きくなります。また、ディーゼルエンジンの高圧縮状態ではガソリンを噴射すると引火が早すぎて異常燃焼してしまうため、軽油を使用する必要があります。
ディーゼルエンジンには、グロープラグという部品が搭載されていますが、これはガソリンエンジンとは異なり、冷間時に燃焼室内の温度を上げるためのものです。
まとめると、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの大きな違いは点火系と燃料です。ディーゼルエンジンは高圧縮によって燃焼を行い、出力トルクが大きい特徴があります。
エンジンが不調になる原因とは:吸気系の条件「良い混合」
エンジンが正常に動くためには、「良い混合」「良い圧縮」「良い火花」と教えられてきました。
良い混合のためには、吸入空気がスムーズに吸気されることです。
エアフィルターが詰まっていたり、エアインテークホースに亀裂があってそこから空気を吸っているなどで混合が乱れることがあります。
また、スロットルボディーのエア通路が汚れてく吸入空気がうまく通らないケースもあります。
スロットルボディーにはアイドリング制御のためにエレクトリックコントロールバルブがついています。
スロットルバルブの手前の小さな穴が、エレクトリックコントロールバルブに通じる通路です。
この通路が詰まったり、エレクトリックコントロールバルブが故障するとエンストの原因になります。
燃料系統は、燃料ポンプによって燃料ホース内に圧力が加えられてインジェクターに燃圧がかかった状態になっています。
噴射のタイミングで、インジェクターのバルブが開いた瞬間に高圧の燃料がシリンダー内に噴射されます。この際に燃圧が下がらないように燃料の圧力を調整するプレッシャーレギュレターが取り付けられています。
インジェクターのバルブが故障して開かなくなったり、バルブがしっかり閉じなくて燃料が漏れている場合は、混合気がうまく調節できずにエンジン不調になります。
プレッシャーレギュレターの故障でも、燃圧が下がってうまく噴射できずエンジン不調になります。
エンジンが不調になる原因とは:エンジン本体の条件「良い圧縮」
吸気された混合気が合っても、圧縮工程でしっかり圧縮されなければエンジンは力が出せません。
圧縮工程では、吸気・排気の両バルブがしっかり閉じていること。
シリンダーとピストンの隙間をふさぐためのピストンリングに異常がないこと。
ピストンに破損がないこと。
上記が良い圧縮に必要な条件なのですが、目で確認することはできません。
そのための工具が、コンプレッションゲージです。
使用方法は、スパークプラグを取り外しそこにコンプレッションゲージを取り付けます。
セルモーターを回して圧縮圧力を測定することができます。
走行距離が多い車両の場合、タイミングベルトが伸びてバルブの開閉タイミングがずれたり点火タイミングがずれることで不調になることもあります。
タイミングベルトは、クランクシャフトとカムシャフトをつないでいるベルトで、クランクシャフトに連結されているピストンとバルブの開閉を制御しているカムシャフトの動きを連動するためのベルトです。
最近は金属ベルトが主流なのですが、オイルメンテが不十分だと負荷がかかり伸びてしまうことがあります。
エンジンが不調になる原因とは:点火系の条件「良い火花」
スパークプラグから点火用の火花が飛ぶことで、混合気に着火して爆発することでエネルギーを発生させます。
スパークプラグに送られる電圧は、点火用コイルによって1万~3万ボルトに昇圧されます。
高圧に圧縮された燃焼室内で混合気に着火させるためには、高電圧が必要なのです。
点火コイルに異常があり、電圧が上がらないとプラグから火花が飛びません。
また、スパークプラグの中心電極とアース端子の間の隙間が消耗により広がりすぎても、良い火花は飛びません。
最近の車では少なくなりましたが、点火コイルとスパークプラグをプラグコードでつないでいる車種の場合、コードの劣化も考えられます。
まとめ
実際には、他にも排気ガス規制装置や電子制御のためのセンサーなども搭載されていますが、別の記事では、これらの排ガス規制装置や制御系のセンサーについても詳しく触れていきます。
まずは、エンジンの基本的な原理を理解していただくことが重要です。この記事では、エンジンの基本動作について簡単に説明させていただきました。エアフィルターから始まり、スロットルバルブ、燃料噴射、燃焼、そして排気までの流れを順を追って説明しました。
エンジンの基本原理を理解することで、後の記事でさらに詳細な内容について理解しやすくなるでしょう。
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エンジンは、混合気を圧縮して点火し爆発力を回転運動に変換して動いている。
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エンジンが正常に動くために「良い混合」「良い圧縮」「良い火花」の3つの条件が必要。
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3つの条件のうち、一つでも欠けてしまうとエンジンは止まってしまいます。