整備士のためのエンジン構造解説!吸気系の構造を理解しよう

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整備士への整備ガイド
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まずは、吸気系統の構造について理解しておきましょう。
自動車でも空気を吸い込むことが出来なければ、エンジンは止まってしまいます。

一つ一つの部品には、全て機能があり取り付けられている場所にも意味があります。
その意味を理解しておかないと、きちんとした整備を行うことはできません。
メーカーごとに固有の要素はありますが、構造はほとんど同じです。

自動車の整備は、全て論理的に考えていく必要があるのですが、基礎となる知識がなければ論理的な考え方が出来ません。

吸気系の構造と役割について

昔の車はキャブレターをつかっていましたが、現在は電子制御になっています。

キャブレターは、よく霧吹きに例えられていました。
キャブレターには、吸入空気の通路があり入口にはスロットルバルブがついています。
スロットルバルブの奥には、通路が狭くなった部分があります。ベンチュリ―管と言われる部分でその奥はまた通路が広くなっています。
狭い部分を通ることで吸入空気の流速が上がり多くの空気を吸い込めます。ベンチュリ―管部分にはニードルジェットという細い管があり、そこからガソリンが吸い出され空気と混ぜられて混合気となります。
キャブレターは、二―ドルジェットの口径を変えることで混合気の濃度を調節する必要があります。

電子制御のインジェクターのでは、吸入空気の量をエアフロメーターで計測し、それに合った燃料を計算しインジェクターから噴射します。
キャブレターよりも、より精密に混合気を調整できます。

電子制御化されたことで、海抜0mから海抜1000mの高地でも同じように調子を崩すことなく走れるようになりました。

エアクリーナーケースとエアフィルタールターについて

エアクリーナーケースは、エンジンルーム内で目立つ黒くて大きな箱です。 この箱の中にはエアフィルターが収められています。

一般的に、エアクリーナーケースは工具を使用せずに開けることができるように設計されています。 ただし、稀にネジを外さなければ開けられない場合もあります。

エアクリーナーケースの機能

エアクリーナーケースは、エアフィルターを収めるだけでなく、他の機能も備えています。

エアクリーナーケースには、空気を取り入れるためのパイプが装備されています。 このパイプは、外部から新鮮な空気を取り込みやすい位置に設置されています。 エンジンルーム内はエンジンの熱で高温になるため、高温の空気を吸い込まないような場所にパイプが配置されています。

また、ケース本体には吸気時の騒音を抑える機能も備わっています。 エアクリーナーケースを取り外すと、アクセルを踏んだ際に「ゴオッ」という吸気音が発生することがあります。

エアフィルターは燃費に影響を及ぼす消耗部品です

エアフィルターは、エンジンに取り込まれる吸気中のゴミやほこりを防ぐための部品です。

エアフィルターの交換時期は厳密に決まっているわけではありません。 しかし、定期的に点検して汚れの程度を確認する必要があります。 エアフィルターが汚れて詰まってしまうと、エンジンの出力が低下し、燃費も悪くなる可能性があります。

さらに、最近の自動車は燃費を向上させるために燃料制御を非常に繊細に行っています。 そのため、エアクリーナーケースを外して取り付けるようなスポーツタイプのエアフィルターに交換すると、エンジンの調子を乱す原因になることがありますので、注意が必要です。

吸入空気の量はセンサーで計測されています。

エアクリーナーケースやエアインテークパイプにセンサーが取り付けられています。
コードがつながったカプラーがついているのは、エアフロセンサーがついているためです。

エアフロメーターは、エンジンが吸入する空気の量を正確に測定し、その空気量に合った燃料を噴射するように制御しています。
そのため、エアフィルターが詰まってしまうと吸入空気量が減り噴射される燃料も減らされ。エンジン出力が下がってしまいます。
その状態で、正常な出力状態と同じ加速を得るために余分にアクセルを踏み込むため燃費が悪化します。

また、社外の吸入抵抗の少ないエアフィルターでは、センサーの測定範囲を超えたりインジェクターの吐出量の上限を超えるような量の空気が入ってしまい制御が出来なくなる場合があります。

ただし、エアフロメーターが故障してもフェイルセーフ機能が働きエンジン警告灯は点灯するがエンジンが止まることはありません。

エアインテークパイプは劣化して切れることがあります

エアクリーナーケースとスロットルボディーを結ぶ黒くて太いパイプはエアインテークパイプと呼ばれます。このパイプは蛇腹状の形状をしており、エアクリーナーケースがボディーと固定され、スロットルボディーがエンジンに取り付けられているため、エンジンの振動によって破損しないように設計されています。

エアインテークパイプが蛇腹状であるため、もし切れてしまってもそれが見つけにくくなっています。 もしエアインテークパイプが切れてしまうと、亀裂から空気が吸入されてしまい、エアフロメーターで計測される吸入空気量との不一致が生じます。これによって正確な燃料制御が行われず、エンジンの不調を起こす可能性があります。

スロットルボディー

スロットルボディーは、アクセルの開度に応じてスロットルバルブを制御する部品です。

以前の車では、アクセルとスロットルバルブがワイヤーで直結されていたため、距離を走行するとワイヤーが劣化し、動作が悪くなることがありました。 しかし、最近の車は電動モーターによって制御されているため、ワイヤーの劣化による動作の問題はほとんど発生しません。

また、アクセルを離してアイドリング状態にある場合、スロットルバルブは閉じられており、空気の通り道は遮断されます。 エンジンが停止しないようにするために、スロットルバルブの手前にはアイドリング時に空気を通すための穴が開いています。

この通路には、アイドリング回転数を制御するための電動モーターが装備されており、空気の通り量を制御します。 なぜなら、エアコンを使用するとコンプレッサーが作動する際に大きな回転抵抗が発生するからです。 したがって、エアコンのコンプレッサーが作動する瞬間にエンジンの回転数を上げて、エンストを防ぐために制御されます。

同様に、ライトを点灯したりエレクトリック機器の使用量が増えると発電機の回転抵抗が増加するため、エンジンの回転数を制御します。

アイドリング時に回転数が低下したりエンストする場合、通路が汚れや詰まりで阻害されている可能性が考えられます。

まとめ

今回は吸気系統の構造と制御について簡単に説明しました。
エアクリーナーケース一つとっても、きちんとした機能があり配置場所も意味があります。
自動車の整備を仕事にする以上、きちんと知っておいて欲しいと思います。

  • 昔はキャブレター、今は電子制御式に進歩しています。
  • エアクリーナーケースは、きれいな空気を吸い込める場所につけられています。
  • エアフィルターは、定期的に汚れをチェックする。詰まりは燃費の悪化と出力低下につながる。
  • エアフィルターを純正品以外に交換する場合は、注意が必要です。
  • 吸入空気量はエアフロメーターで精密に計測されています。
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