
結論からいうと、ディーラーが車1台を売って得る利益は、新車・中古車・値引き額・仕入れ条件によって大きく変わります。
私が自動車営業として働いた経験では、新車の値引き前の車両粗利益率は、数%程度の車もあれば、十数%程度になるケースもありました。
中古車はさらに仕入れ価格の影響が大きく、1台あたり数万円しか利益が残らない場合もあれば、数十万円の利益を確保できる場合もあります。
また、ディーラーは車両本体だけでなく、用品、自動車保険、ローン、登録代行、点検・車検・整備などからも利益を得ています。
ただし、ここで注意したいのが、
「会社が車1台から得る利益」と「営業本人にもらえる歩合」は別
ということです。
私が経験した販売会社では、営業の販売奨励給は車両販売で残した利益を基準に計算され、販売台数や役職によって支給率が変わっていました。
私は整備士を12年、自動車営業を15年経験し、自動車保険の提案にも携わってきました。
まず、この記事の結論をまとめると次のとおりです。
| 知りたいこと | 先に答え |
|---|---|
| 新車1台の利益 | 私の経験では、値引き前の車両粗利益率は数%〜十数%程度 |
| 中古車1台の利益 | 仕入れ次第で数万円〜数十万円と幅がある |
| 営業本人の歩合 | 私が経験した販社では、車両利益の数%程度。条件によっては1割程度 |
| 車両以外の利益 | 用品・保険・ローン・登録代行・点検整備など |
この記事では、ディーラーの「会社としての利益」と営業スタッフの「販売奨励給」を分けながら、営業現場で見てきた実態を解説します。
車1台を売るとディーラーはいくら儲かる?
車1台を売ったときの利益を「必ず○万円」と決めることはできません。
新車と中古車では利益の決まり方が違いますし、同じ新車でも、
- メーカー
- 車種
- 販売会社の仕入れ条件
- 値引き額
- 販売時期
などによって粗利益が変わるからです。
また、この記事でいう「車1台の利益」は、主に車両の粗利益を指します。
人件費や店舗維持費などまで差し引いた、販売会社の最終利益とは異なります。
売価全額がディーラーの利益になるわけではない
例えば300万円の新車を販売しても、300万円すべてがディーラーの利益になるわけではありません。
販売会社は車両を仕入れたうえで顧客に販売しています。
さらに販売会社には、
- 営業スタッフの人件費
- 整備スタッフの人件費
- 店舗や展示場の維持費
- 広告費
- 展示車や試乗車の管理費
などの経費がかかります。
そのため、車両販売で粗利益が出ても、その金額がそのまま会社の最終利益として残るわけではありません。
値引きをすれば車両粗利益は減る
車両粗利益に大きく影響するのが値引きです。
例えば、値引き前に30万円の車両粗利益が見込まれている車を20万円値引きすれば、単純計算では残る車両粗利益は10万円です。
さらに、
- カーナビをサービスする
- ドライブレコーダーを値引きする
- 下取り価格を上乗せする
- コーティングをサービスする
といった対応をすれば、契約全体から残る利益はさらに減ります。
営業スタッフが値引きだけで契約を取ろうとすると、販売台数は増えても会社に十分な利益が残らないことがあります。
新車1台の利益は数%〜十数%程度になるケースがある
私が自動車営業として働いていた経験では、新車の値引き前の車両粗利益率は、販売会社や車種によってかなり差がありました。
利益率が低い車では数%程度、条件によっては十数%程度の粗利益を見込めるケースもありました。
ただし、これは業界全体で共通する固定相場ではありません。
同じ価格帯の車でも、メーカーや車種、販売会社の仕入れ条件などによって粗利益は変わります。
私が現場で見た車種別の粗利益例
私が営業現場で見ていた値引き前の車両粗利益では、次のようなケースがありました。
| 車種 | 値引き前の車両粗利益の例 |
|---|---|
| 軽自動車・コンパクトカー | 20万〜30万円程度 |
| ミドルクラスのミニバン | 40万〜60万円程度 |
| 高級セダン・高級ミニバン | 100万円前後になるケースもある |
ただし、この表は「どのディーラーでも同じ利益が出る」という意味ではありません。
あくまで、私が営業として扱っていた車種や販売条件で見てきた一例です。
ここから車両値引きや用品サービス、下取り価格の上乗せなどを行えば、実際に販売会社へ残る車両粗利益は減ります。
また、私が扱った車種では、ハイブリッド車やBEVなど、車両価格が高くても同じ車格のガソリン車より販売会社に残る車両粗利益が少ないケースもありました。
メーカーや車種、販売時期によって条件が異なるため、「車両価格が高い=ディーラーの利益も大きい」とは限りません。
用品のほうが利益を確保しやすい場合がある
ディーラーにとって重要なのは、車両本体の利益だけではありません。
私が経験した範囲では、用品で20%前後の利益を見込めるケースもありました。
例えば、
- カーナビ
- ETC
- ドライブレコーダー
- フロアマット
- ボディコーティング
などです。
ディーラーが商談中に用品を熱心に提案するのは、単純に販売金額を増やすためだけではありません。
車両本体の値引きで減った利益を、用品を含めた契約全体で補う意味もあります。
そのため、
「車両本体を大きく値引きしてもらったから、ディーラーはほとんど儲かっていない」
とは限りません。
車両だけではなく、用品まで含めた契約全体で利益を見ているからです。
中古車1台の利益は仕入れ価格によって大きく変わる
中古車は、新車以上に「いくらで仕入れられたか」が重要です。
私が営業現場で見てきた範囲でも、中古車1台の利益は数万円程度から数十万円程度まで大きな幅がありました。
安く仕入れられた人気車を相場に近い価格で販売できれば、利益を確保しやすくなります。
一方で、仕入れ価格が高かった車や長期間在庫として残った車では、ほとんど利益を残せない場合もあります。
下取り価格が中古車の利益を左右する
例えば、市場で200万円程度で販売できる中古車を150万円で下取りできれば、販売価格との差額は50万円あります。
ただし、この50万円がそのまま販売会社の利益になるわけではありません。
中古車として再販売するまでには、
- 点検・整備
- 傷やへこみの修理
- 車内クリーニング
- 保証
- 広告掲載
- 展示・商品化
などの費用がかかります。
また、競合店との査定競争で下取り価格を上げすぎれば、販売できてもほとんど利益が残らないことがあります。
そのため中古車は、販売価格だけでなく仕入れ価格が利益に大きく影響します。
長期在庫なら数万円の利益でも売り切ることがある
中古車で特に重要なのが在庫期間です。
仕入れた車が長期間売れなければ、その間にも中古車市場の相場は変わります。
年式も古くなり、さらに新しい中古車が市場に出てくれば、同じ販売価格では売りにくくなります。
そのため、長期間在庫として残った車では、当初予定していた利益を諦め、値引きをして数万円程度の利益でも売り切ることがあります。
販売会社からすると、売れない中古車を長期間抱え続けるよりも、利益を減らして現金化し、次の商品を仕入れたほうがよい場合もあるからです。
中古車では、
「1台でいくら儲けるか」だけでなく、「いくらで仕入れて、どれだけ早く売るか」
が重要です。
営業マンは車1台売るといくら歩合をもらえる?
営業スタッフに入る歩合・インセンティブも、販売会社によって異なります。
私が経験した販売会社では、車両販売で残した利益の数%が販売奨励給として反映され、条件によっては1割程度になることもありました。
ただし、これは業界全体で共通する歩合率ではありません。
販売会社によって、
- 固定額
- 車両粗利益連動
- 納車台数連動
- 目標達成型
など、さまざまな制度があります。
販売台数によって奨励給率が変わる場合がある
私が経験した販売会社では、月間の納車台数が増えるほど販売奨励給の割合が上がる仕組みがありました。
例えば、
- 月3台
- 月5台
- 月10台
と納車台数が増えるにつれて、支給率が高くなるイメージです。
そのため、同じ粗利益の車を1台販売しても、月3台納車した営業と月10台納車した営業では、1台あたりの奨励給が違う場合があります。
また、一定台数を超えると、それまでに納車した車までさかのぼって支給額が増える制度もありました。
「1台売ったら必ず○万円もらえる」という単純な仕組みではありません。
役職によって支給率が変わる場合もある
販売奨励給は、納車台数だけでなく役職によって変わる場合もあります。
私が働いていた販売会社では、役職のない営業スタッフと主任営業では、同じ納車台数、同じ粗利益でも主任営業のほうが多く販売奨励給を受け取れる仕組みでした。
そのため、「営業が車1台売るといくらもらえるか」を知りたい場合は、単純な1台あたりの金額だけではなく、
- 車両利益の何%が対象になるのか
- 納車台数によって支給率が変わるのか
- 役職によって支給率が変わるのか
まで確認する必要があります。
たくさん売っても販売奨励給が増えないことがある
車をたくさん契約すれば、必ず販売奨励給が大きく増えるわけではありません。
例えば、大幅な値引きを続ければ1台あたりの車両粗利益は少なくなります。
粗利益を基準に奨励給を計算する会社では、納車台数が多くても、会社へ残す利益が少なければ奨励給が増えにくい場合があります。
私が営業をしていたときも、単純に販売台数だけを増やせば高く評価されるわけではありませんでした。
また、販売実績として計算されるタイミングも重要です。
私が経験した販売会社では、基本的に契約した時点ではなく、納車した時点で販売台数としてカウントされていました。
そのため、月末に契約できても納車が翌月になれば、その車の販売奨励給も翌月分になる場合があります。
会社によっては登録時点など別のタイミングで実績を計算する場合もあるため、制度は販売会社ごとに異なります。
ディーラーの利益がそのまま営業マンの歩合になるわけではない
ディーラーの利益を考えるうえで、特に勘違いしやすいのが、
会社が得る利益と、営業スタッフの販売奨励給は同じではない
という点です。
例えばディーラーには、車両販売以外にも保険やローン、用品、登録代行、整備などから収益があります。
しかし、その収益がすべて営業スタッフの販売奨励給になるわけではありません。
私が経験した販売会社では、基本的には車両販売で生まれた利益を基準に販売奨励給が計算されていました。
一方で販売会社によっては、ローン会社から受け取る手数料の一部や、保険代理店として受け取る手数料の一部を営業スタッフの評価や奨励給へ反映する場合があります。
大まかに整理すると、次のようになります。
| 項目 | 販売会社の収益 | 営業の奨励給 |
|---|---|---|
| 車両粗利益 | 〇 | 対象になる会社がある |
| 用品利益 | 〇 | 会社制度による |
| 保険手数料 | 〇 | 会社制度による。私の経験では一部が評価に反映される場合もあった |
| ローン手数料 | 〇 | 会社制度による。手数料の一部が奨励給へ反映される場合もある |
| 登録代行手数料 | 〇 | 基本的には販売会社側の収益 |
| 点検・整備 | 〇 | 車両販売の奨励給とは別に扱われる会社もある |
「ディーラーが何で儲かっているか」と「営業本人が何を売れば給料が増えるか」は、分けて考える必要があります。
会社が車1台から得る利益と、自分の給料がいくら増えるかは別です。
営業として実際にいくら稼げるか知りたい場合は、「車1台の歩合」だけでは判断できません。
基本給・賞与・販売奨励給まで含めた給与体系を確認する必要があります。
▶ ディーラー営業の給料はいくら?歩合・インセンティブと年収の実態を経験者が解説
車両以外にもディーラーの利益はある
ディーラーは、車両本体の利益だけで経営しているわけではありません。
車を購入するときや購入した後にも、複数の収益源があります。
自動車保険
ディーラーが保険代理店として任意保険を扱っている場合、契約に応じて保険会社から代理店手数料を受け取ります。
そのため、新規契約だけでなく保険の継続も重要です。
また、販売会社によっては、保険契約件数や継続率などを営業スタッフの評価項目としている場合があります。
ローン・クレジット
ディーラーローンや残価設定型クレジットなどを利用すると、ローン会社から販売会社へ手数料が入る場合があります。
販売会社によっては、この手数料の一部を営業スタッフの奨励給や評価へ反映することもあります。
そのため、車両の販売台数だけでなくローン利用率なども評価される会社があります。
用品・コーティング
カーナビ、ETC、ドライブレコーダー、フロアマット、ボディコーティングなどもディーラーの収益源です。
用品そのものの利益だけでなく、取り付け工賃が収益になる場合もあります。
私が営業していた経験では、車両本体より用品のほうが利益率を確保しやすいケースもありました。
そのため、車両本体の値引きが大きくても、用品を含めた契約全体では利益を確保できることがあります。
登録代行手数料
車を購入するときには、登録などの各種手続きが必要です。
税金や法定費用そのものがディーラーの利益になるわけではありません。
一方で、販売会社が登録手続きなどを代行するための費用は、販売会社側の収益になる場合があります。
見積書を見るときは、
- 税金・法定費用
- 販売会社へ支払う代行費用
を分けて確認すると分かりやすくなります。
メンテナンスパック
メンテナンスパックは、点検やオイル交換などをまとめた商品です。
購入時に加入してもらうことで、販売会社は購入後も顧客との接点を持ちやすくなります。
定期的に入庫してもらえれば、点検だけでなく車検、修理、保険更新、将来の買い替えなどにもつながります。
車検・点検・整備
新車を販売したときの粗利益が少なくても、購入後の点検、車検、一般整備、故障修理などから継続的な収益を得られる場合があります。
そのためディーラーにとっては、
「車を1台販売して終わり」ではありません。
購入後も自社へ継続して入庫してもらい、長く付き合ってもらうことが重要です。
下取り・中古車再販
下取りした車を中古車として再販売できれば、新車販売とは別に利益を得られます。
ただし、高く下取りしすぎれば、中古車として再販売したときに残る利益は少なくなります。
そのため下取り査定は、顧客にとって重要であると同時に、販売会社の利益にも大きく影響します。
まとめ|車1台の利益と営業の歩合は分けて考える
ディーラーが車1台を販売したときの利益は、一律ではありません。
私が営業現場で経験した範囲では、新車の値引き前の車両粗利益率は数%程度から十数%程度になるケースがありました。
中古車では仕入れ価格や在庫期間による差が大きく、数万円しか利益が残らない場合もあれば、数十万円の利益を確保できる場合もあります。
さらにディーラーは車両本体だけでなく、
- 用品
- 自動車保険
- ローン・クレジット
- 登録代行
- メンテナンスパック
- 車検・点検・整備
- 下取り・中古車再販
などからも利益を得ています。
一方で、会社が得る利益と営業スタッフの販売奨励給は別です。
私が経験した販売会社では、車両販売で残した利益の数%が販売奨励給として反映され、販売台数や役職によって支給率が変わっていました。
条件によっては1割程度になるケースもありましたが、販売会社によって制度は異なります。
「ディーラーが車1台売るといくら儲かるのか」と「営業本人はいくらもらえるのか」は別の話です。
ディーラー営業としてどこまで収入を伸ばせるのか知りたい方は、こちらも参考にしてください。
▶ ディーラー営業で年収1,000万円を目指せる人の条件を見る
よくある質問
新車を1台売るとディーラーはいくら儲かりますか?
一律ではありません。
私が営業現場で経験した範囲では、値引き前の車両粗利益率が数%程度の車もあれば、十数%程度になるケースもありました。
メーカー、車種、仕入れ条件、値引き額などによって変わります。
中古車を1台売るといくら儲かりますか?
中古車は仕入れ価格によって大きく変わります。
私が経験した範囲では、数万円程度しか利益が残らない車もあれば、数十万円の利益を確保できる車もありました。
長期間売れずに在庫になった車では、利益を減らしてでも値引きして売り切ることがあります。
営業は車を1台売るといくらもらえますか?
販売会社によって異なります。
私が経験した販売会社では、車両販売で残した利益の数%程度が販売奨励給として反映され、条件によっては1割程度になるケースもありました。
ただし、販売台数や役職などによって支給率が変わる場合があります。
会社が得た利益はすべて営業の歩合になりますか?
なりません。
会社の利益と営業スタッフの販売奨励給は別です。
車両利益を基準に販売奨励給を計算する会社がある一方で、自動車保険、ローン、登録代行、点検整備などから得られる収益は販売会社側の収益になります。
ただし、会社によっては保険やローンの手数料の一部を営業スタッフの評価や奨励給へ反映する場合があります。
ディーラーは車両以外でも利益を得ていますか?
はい。
自動車保険、ローン、用品、コーティング、登録代行、メンテナンスパック、車検、点検、整備、下取り車の再販なども収益になります。
ディーラーは車両本体だけでなく、購入時から購入後まで含めた取引全体で利益を確保しています。


