
「EVが増えたら、整備士の仕事はなくなるのではないか」
「電子制御の故障が増えて、今までの経験が通用しなくなるのではないか」
「腰や体力がつらいけれど、このまま整備士を続けて大丈夫なのか」
このような不安を抱えている整備士は少なくありません。
結論から言うと、EVや自動運転が普及しても、整備士の仕事がすぐになくなる可能性は低いです。
ただし、整備士の仕事が残ることと、あなたが今の会社で働き続けるべきことは別問題です。
整備士の将来が危ないのは、EVによって仕事がなくなるからではありません。
本当に危ないのは、故障診断の難易度と責任だけが上がり、給料・教育・設備が追いつかない会社で働き続けることです。
反対に、新しい技術を学べる環境があり、資格や診断力が給料へ反映される会社なら、整備士を続ける価値はあります。
私は自動車整備士として12年間働き、ホンダ1級エンジニアとして点検・整備・故障診断を経験しました。
その後、自動車営業へ移り、年収は整備士時代の約500万円から1,000万円になりました。
だからこそ、この記事では「整備士を辞めた方がいい」と一方的に勧めるのではなく、次の3つに分けて解説します。
- 今の会社で整備士を続けてよい人
- 整備士のまま勤務先を変えた方がよい人
- 整備経験を活かして別職種へ移った方がよい人
私は整備・営業・保険相談の現場を経験してきました。
そのため、机上の一般論ではなく、現場で本当に差がつく判断基準を優先して解説します。
この記事を読み終えたときに、今の会社に残るのか、勤務先を変えるのか、職種まで変えるのかを判断できる状態を目指してください。
整備士の仕事はEV時代でもなくならない
EVが普及すると、エンジンオイルやスパークプラグの交換など、エンジン車特有の作業は減っていきます。
そのため、「EVばかりになれば、整備士の仕事はなくなる」と考える人もいます。
しかし、EVになっても、タイヤ、ブレーキ、足回り、エアコン、電装品、駆動用バッテリーなどの点検・修理は残ります。
エンジン車特有の作業は減っても、車検、消耗品交換、故障診断、事故修理がすべてなくなるわけではありません。
むしろ、今後は部品を交換する作業だけでなく、診断機の情報から異常の原因を判断する仕事が重要になります。
整備士という仕事がなくなるのではなく、求められる知識と作業内容が変わっていくと考える方が現実的です。
EVでも点検・車検・故障診断は残る
EVになっても、車である以上、安全に走行するための点検は必要です。
タイヤやブレーキ、足回り、ライト、エアコンなどの部品は、EVでも使用されています。
さらに、EVには高電圧バッテリーやモーター、インバーター、各種センサーなど、従来の車とは異なる装置があります。
整備士の仕事がゼロになるのではなく、エンジンやトランスミッション中心の整備から、電気・電子制御を含む診断へ比重が移っていきます。
ただし求められる技術は変わる
従来の整備では、異音、振動、におい、摩耗、ガタなどから故障箇所を予測できる場面が多くありました。
もちろん、今後もこうした経験は役に立ちます。
しかし、車両の電子制御化が進むほど、目や耳だけでは判断できない故障が増えていきます。
診断機の情報を読み取り、電気回路、通信、センサー、制御の仕組みを理解しながら原因を切り分ける力が必要です。
そのため、整備士の仕事が残るからといって、過去の知識だけで働き続けられるとは限りません。
整備士の本当の将来リスクは仕事がなくなることではない
整備士の将来性を考えるとき、多くの人は「EVで仕事がなくなるか」を気にします。
しかし、現場で働く整備士にとって本当に重要なのは、仕事の有無だけではありません。
確認すべきなのは、次の4点です。
- 難しくなった仕事が給料へ反映されるか
- 新しい技術を学ぶ時間と研修があるか
- 診断機やPCなどの設備が整っているか
- 腰痛や体力の負担に耐え続けられるか
整備士不足によって仕事が残ったとしても、責任と難易度だけが上がり、待遇が変わらなければ、働き続けるメリットは小さくなります。
「仕事があるから安心」ではなく、今の会社で続ける価値があるかを判断する必要があります。
故障診断の難易度が上がっている
「診断機をつなげば故障箇所が分かる」と思われることがあります。
しかし、実際の故障診断はそれほど単純ではありません。
私が「整備士なら将来も安泰とは言い切れない」と感じた理由の一つが、診断機に表示されるデータ項目の増加です。
車の電子制御化が進むにつれて、診断機で確認できる数値や項目は年々増えていきました。
データが増えれば、診断が簡単になると思われるかもしれません。
しかし、現場では逆です。
どの数値が正常で、どこから異常と判断するのかを把握するために、以前より多くの知識と経験が必要になりました。
故障診断はフローチャートに沿って進めますが、最終的な判断を機械がすべて行ってくれるわけではありません。
診断機は答えを出す道具ではなく、判断材料を表示する道具です。
表示された情報をどう読むかは、整備士の知識と経験に左右されます。
症状が再現しなければ原因を特定できない
電子機器の故障で難しいのは、症状が常に出るとは限らないことです。
お客様が来店する前には異常が出ていたのに、工場へ入庫したときには正常に戻っていることがあります。
症状が再現しなければ、診断機につないでも正常な数値しか表示されず、原因を特定できない場合があります。
機械的な故障であれば、音、振動、におい、摩耗、ガタなどから原因を予測できることがあります。
一方で、電子機器は正常か異常かがはっきり分かれることも多く、症状が出ていない状態では判断できません。
過去の経験が役に立たないわけではありません。
ただし、従来の感覚だけでは予測しにくい故障が増えているのは事実です。
電子制御化が進むほど、整備士には新しい知識が必要になります。
同時に、症状が再現しなければ判断できないという、整備士個人の努力だけでは解決できない問題も増えます。
診断機やPCが不足すると現場へ負担が集中する
故障診断の難しさは、整備士個人の知識だけでは決まりません。
現場では、設備や作業環境にも制約があります。
私が働いていた工場では、診断機をPCと接続して使用していました。
しかし、工場内で使用できるPCの台数には限りがあります。
複数の整備士が診断を必要としていても、PCが空くまで作業を進められないことがありました。
また、診断用プログラムのアップデートが始まると、数十分使用できなくなる場合もあります。
診断機を最新のデータへ更新していなければ、対象車両の診断自体ができないケースもありました。
車の技術が高度になっても、会社側が設備、人員、研修へ投資しなければ、現場の整備士だけに負担が集中します。
整備士の将来性は業界全体だけでなく、勤務先が設備と人材へ投資しているかによって大きく変わります。
難易度と責任が給料へ反映されない
高度な故障診断を任されても、資格手当や給与へ十分に反映されない会社があります。
新しい技術を学び、難しい診断を担当し、説明責任まで負っているのに、給料がほとんど変わらない場合もあります。
技術を身につけても評価が変わらないなら、その会社で努力を続ける意味は薄くなります。
「自分の年収は本当に低いのか」と感じたら、まずは同じ整備士でも勤務先によってどの程度差があるのかを確認してください。
整備の仕事自体は好きでも、現在の会社の待遇だけに不満があるなら、異業種へ移る前に他社の年収と評価制度を比較するべきです。
整備士を続けてよい人
次に当てはまる人は、急いで整備士を辞める必要はありません。
- 整備や故障診断そのものが好き
- 新しい技術を学ぶことが苦にならない
- 会社が研修や設備へ投資している
- 技術や資格が給料へ反映されている
- 腰痛や体力面に大きな問題がない
- 将来は工場長や管理職を目指したい
- 現在の収入や休日に納得している
重要なのは、整備士という仕事が好きかどうかだけではありません。
現在の勤務先で、技術を伸ばしながら長く働けるかを確認する必要があります。
新しい技術を学べる環境がある
車の技術は今後も変化します。
過去の経験だけに頼らず、研修や技術資料を通じて知識を更新できる人は、EV時代でも対応できます。
ただし、本人に学ぶ意欲があっても、会社が研修や設備を用意しなければ限界があります。
次の環境が整っているか確認してください。
- メーカー研修を受けられる
- 技術資料を確認できる
- 診断機やPCを必要なときに使える
- 分からない故障を相談できる
- 資格取得への支援がある
これらが整っている会社なら、整備士を続けながら技術を高められます。
技術と資格が給料へ反映されている
資格を取得しても、わずかな手当しか付かない会社があります。
難しい故障診断ができるようになっても、評価が変わらないこともあります。
一方で、資格、役割、診断能力、後輩指導などが昇給や昇格へ反映される会社もあります。
今の会社で整備士を続けるなら、努力がどのように給料へ反映されるのかを確認してください。
評価条件が曖昧な会社では、努力を続けても収入が上がらない可能性があります。
腰や体力に大きな問題がない
整備士は体を使う仕事です。
中腰、タイヤ交換、重整備、長時間の立ち作業などは、年齢とともに負担が大きくなります。
現在は問題なくても、10年後も同じ作業を続けられるか考える必要があります。
体力面に大きな不安がなく、作業内容にも納得しているなら、整備士を続けることは十分に現実的です。
工場長や管理職を目指したい
整備士として給料を上げる方法の一つが、工場長などの管理職へ進むことです。
ただし、工場長になると、整備作業よりも次の仕事が増えます。
- 売上管理
- 作業進捗の確認
- 人員配置
- 後輩指導
- クレーム対応
- 目標数字の管理
- 他部署との調整
整備そのものより、工場運営や人材管理に興味がある人には向いています。
反対に、整備作業を続けたい人にとっては、出世するほど好きな仕事から離れる可能性があります。
整備士のまま会社を変えた方がよい人
整備士を辞めたいと感じても、原因が整備の仕事そのものではなく、現在の会社にある場合があります。
次に当てはまる人は、異業種へ転職する前に、整備士のまま勤務先を変える選択肢を検討してください。
- 整備や故障診断は嫌いではない
- 今の会社だけ給料が低い
- 研修や設備が不足している
- 人手不足で休めない
- 残業や休日出勤が多い
- 資格や経験が評価されていない
- 人間関係や上司に問題がある
「今の会社に残るか、整備士を辞めるか」の二択で考える必要はありません。
同じ整備士でも、勤務先によって給料、休日、設備、作業負担、教育体制は異なります。
整備の仕事自体が好きなら、職種まで捨てる前に、条件のよい会社がないか確認してください。
整備の仕事自体は好き
故障原因を考えることや、修理後に車が正常へ戻ることへやりがいを感じるなら、整備士そのものを辞める必要はないかもしれません。
現在の不満が、会社の給料、設備、人間関係、休日にある場合は、勤務先を変えるだけで改善する可能性があります。
現在の会社だけ教育や設備が不足している
新技術を学びたいのに研修がない、診断機やPCが足りない、相談できる先輩がいない。
このような環境では、本人に意欲があっても成長できません。
教育や設備へ投資する会社へ移れば、整備士として将来性を高められる可能性があります。
同じ整備士でも待遇改善の余地がある
整備士の年収は、会社、メーカー、地域、資格、役職、評価制度によって異なります。
今の給料だけを見て、「整備士は稼げない」と決めつけるのは早いです。
まずは同業他社の求人と比較し、整備士のまま待遇改善できる余地があるかを確認してください。
整備士以外の職種も検討した方がよい人
次に当てはまる場合は、整備士のまま会社を変えるだけでは問題が解決しない可能性があります。
- 腰痛や体力面で長期継続が難しい
- 10年後も現場作業を続ける自信がない
- 管理職へ進みたくない
- 整備の仕事そのものに興味を失っている
- 努力を個人の収入へ反映させたい
- お客様への説明や提案が得意
- 家族との時間を増やしたい
- 整備経験を別の仕事で活かしたい
整備士を辞めることは、整備経験を捨てることではありません。
大切なのは、整備経験を別の職種で評価される形へ変えることです。
腰痛や体力面で長期継続が難しい
私が整備士を辞めた大きな理由は腰痛でした。
若いときは無理ができても、年齢とともに中腰、タイヤ交換、重整備、長時間の立ち作業が負担になります。
慢性的な腰痛がある状態で、「まだ働けるから」と我慢を続けるのは危険です。
腰痛は、我慢すれば解決する問題ではありません。
症状が悪化すると、整備作業だけでなく、転職活動や日常生活にも影響する可能性があります。
腰痛がすでに慢性化している場合は、「今も作業できるか」ではなく、10年後も続けられるかで判断してください。
管理職へ進みたくない
整備士として昇給するためには、工場長や管理職を目指す必要がある会社もあります。
しかし、管理職になると、整備作業よりも数字、人員、進捗、クレーム対応が中心になります。
整備作業を続けたい人にとっては、出世が必ずしも理想のキャリアとは限りません。
また、管理職へ進みたくない場合、整備士としての昇給が途中で止まることもあります。
現場作業を続けたいのか、管理職になりたいのか、別職種で経験を活かしたいのかを分けて考えてください。
努力を個人の収入へ反映させたい
整備士は、技術を高めても給料へすぐに反映されにくい職場があります。
難しい故障を直しても、売上や利益が個人の給与へ直接反映されるとは限りません。
一方で、営業職など成果が評価されやすい仕事では、努力や実績が収入へ反映される可能性があります。
もちろん、成果型の仕事にはプレッシャーもあります。
ただし、努力と収入を結びつけたい人にとっては、整備士以外の職種が合う場合があります。
お客様への説明や提案が得意
整備士は、原因を探し、順番を考え、相手へ説明する仕事です。
故障内容や修理の必要性を、お客様へ分かりやすく説明できる人は、営業やサービスフロントでも経験を活かせます。
専門知識を持ちながら、お客様目線で説明できる人は貴重です。
整備士経験は別職種でも強みになる
整備士として積み上げた経験は、整備工場の中だけで使えるものではありません。
次のような仕事でも評価される可能性があります。
- 自動車営業
- サービスフロント
- 設備保全
- 技術アジャスター
- 保険会社
- 部品会社
- 技術サポート
- 自動車関連の講師
整備を辞めた後の仕事が分からないままでは、転職するか残るかを正しく判断できません。
自動車営業
自動車営業では、車の機能や価格を説明するだけではありません。
お客様は、次のような不安を持っています。
- 故障しやすくないか
- 維持費はいくらかかるか
- 車検代は高くないか
- ハイブリッド車のバッテリーは大丈夫か
- 安全装備は本当に必要か
- 修理費はどの程度かかるか
- 任意保険はどこまで付けるべきか
整備経験があれば、カタログに書いてある特徴だけでなく、故障、維持費、安全性、修理費まで含めて説明できます。
売るためだけの説明ではなく、購入後のリスクまで伝えられるため、お客様から信頼されやすくなります。
サービスフロント
サービスフロントは、お客様と整備工場の間に立つ仕事です。
お客様の症状を聞き取り、整備士へ正しく伝え、修理内容や費用を分かりやすく説明します。
整備経験がある人は、故障の可能性や作業内容を理解できるため、現場とお客様の双方へ説明しやすくなります。
整備作業より体への負担を減らしながら、経験を活かせる可能性があります。
設備保全
工場や施設の機械設備を点検・修理する設備保全でも、整備士経験を活かせます。
故障原因の切り分け、工具の使用、安全確認、定期点検などは、自動車整備と共通する部分があります。
自動車以外の機械に興味がある人にとって、現実的な選択肢です。
技術アジャスター
技術アジャスターは、事故車両の損傷状態や修理費を確認する仕事です。
車両構造、修理方法、部品価格などの知識が必要になるため、整備士経験が強みになります。
保険分野へ興味があり、現場作業以外で車の知識を使いたい人に向いています。
私が整備士から営業へ移った理由
私は整備士として12年間働いた後、自動車営業へ移りました。
転職した理由は、給料だけではありません。
大きかったのは、腰痛による体力面の不安と、電子制御化によって従来の経験だけでは原因を予測しにくい故障が増えたことです。
電子制御化で感じた変化
整備士として働き始めた頃と比べると、診断機で確認するデータ項目は大きく増えました。
診断機が進化すれば、故障診断は簡単になるように見えます。
しかし、実際には確認する情報が増え、正常か異常かを判断するために、より多くの知識が必要になりました。
さらに、症状が再現しなければ、原因を特定できない電子機器の故障もあります。
以前の経験が使えないわけではありません。
ただし、過去の感覚だけでは判断できない場面が増えたことで、「この仕事を今後も同じ環境で続けるのか」と考えるようになりました。
腰痛が転職判断の決定打になった
私が整備士を辞めた最大の理由は、年収の低さではなく腰痛です。
整備士時代の年収は約500万円で、生活できないほど低かったわけではありません。
それでも、腰への不安を抱えながら、10年後も同じ作業を続けられるとは思えませんでした。
そのまま働き続け、症状が悪化してから動くより、経験を活かせるうちに働き方を変えた方がよいと判断しました。
整備経験が営業で評価された
営業へ移った後、整備士経験は大きな強みになりました。
お客様が車を選ぶとき、カタログの説明だけでは解決できない不安があります。
故障、修理費、維持費、安全性、保険、車検費用まで含めて説明できることで、お客様から信頼されやすくなりました。
また、故障診断で身につけた「原因を切り分ける力」は、営業でも役立ちました。
お客様が何に困っているのかを聞き取り、必要な情報を整理し、解決策を提案する流れは、故障診断と共通しています。
年収500万円から1,000万円になった
私の場合、整備士時代の年収は約500万円でした。
自動車営業へ移った後は、年収1,000万円まで増えました。
ただし、営業へ転職すれば誰でも年収1,000万円になるわけではありません。
会社の給与制度、販売実績、歩合、担当顧客数、保険やローンの評価によって収入は変わります。
重要なのは、年収1,000万円という数字だけではありません。
整備士として身につけた知識や経験を、別の形で評価される仕事へ移せたことです。
お客様への説明や提案が苦にならない人は、整備知識を営業力へ変えられる可能性があります。
迷ったときの5つの判断基準
整備士を続けるか迷ったら、感情だけで決めずに次の5項目を確認してください。
1.腰痛や体力は10年後も耐えられるか
現在働けるかではなく、10年後も続けられるかで考えてください。
慢性的な痛みがあるなら、悪化する前に働き方を見直す必要があります。
「まだ動けるから大丈夫」という判断では遅い場合があります。
2.新技術を学べる環境があるか
研修、診断機、PC、技術資料、メーカーへの問い合わせ環境が整っているかを確認してください。
設備不足や教育不足を、個人の努力だけで補わせる会社には注意が必要です。
3.技術や資格が給料へ反映されているか
資格を取得しても、わずかな手当しか付かない場合があります。
学習量や責任に見合った評価を受けられているか、昇給条件やキャリア制度を確認してください。
4.管理職になりたいか
工場長になると、整備より数字や人員の管理が中心になります。
整備作業を続けたいのか、工場を管理したいのかを分けて考える必要があります。
管理職に魅力を感じないなら、整備士として別会社へ移るか、別職種へ進むことも検討してください。
5.整備経験を別職種で活かせないか
自動車営業、サービスフロント、設備保全、技術アジャスター、保険会社など、整備経験を評価される仕事があります。
整備士を辞めることは、整備経験を捨てることではありません。
別の職種で評価される形に変えられないかを考えてください。
今すぐ辞めなくても外の条件は確認しておくべき
整備士を続けるか迷っていても、今すぐ退職する必要はありません。
ただし、今の会社の条件しか知らない状態では、「残る」という判断が正しいかどうかも分かりません。
私自身も、整備士時代は自分の経験が他の仕事でどの程度評価されるのか分かっていませんでした。
しかし、外の仕事と比較したことで、整備経験は作業だけでなく、お客様への説明、原因の切り分け、提案、後輩指導にも変換できると気づきました。
求人を確認する目的は、転職を決めることではありません。
次の3つを比較するためです。
- 今の会社で整備士を続ける
- 条件のよい会社へ整備士として移る
- 整備経験を活かして別職種へ移る
この3つを比較してから残ると決めれば、以前より納得して働けます。
反対に、比較しないまま腰痛や待遇への不満を我慢し続けると、「もっと早く調べればよかった」と後悔する可能性があります。
転職するかまだ決めていない人ほど、まず自分の経験がどのように評価されるかを確認してください。
転職エージェントを使う目的は、退職を決めることではありません。
残る場合も含めて、自分の選択肢を増やすことです。
整備士の将来性に関するよくある質問
EVが増えると整備士の給料は上がりますか
EVや電子制御へ対応できる人材の需要が増えても、必ず給料が上がるとは限りません。
会社の評価制度、資格手当、役職制度によって異なります。
新しい技術を任されているのに給料が変わらない場合は、他社の条件と比較してください。
診断機が普及すれば経験の浅い整備士でも診断できますか
診断機は故障コードやデータを表示しますが、原因まで自動で特定してくれるとは限りません。
数値を読み取り、どの部品や配線を確認するか判断するには、知識と経験が必要です。
診断機を使えることと、正しい故障診断ができることは別です。
整備士を辞めると資格は無駄になりますか
無駄にはなりません。
整備士資格や現場経験は、自動車営業、サービスフロント、設備保全、技術アジャスター、保険会社などでも評価される可能性があります。
重要なのは、整備経験を応募先の仕事内容に合わせて伝えることです。
営業へ転職すれば年収は上がりますか
営業職は成果が給与へ反映されやすいため、整備士時代より年収が上がる可能性があります。
ただし、会社の歩合制度や評価項目によって大きく異なります。
営業へ転職する前に、基本給、歩合、保険・ローンの評価、休日、ノルマを確認してください。
整備士を続けるか迷ったら何から始めるべきですか
まずは、辞めるかどうかを決めるのではなく、今の不満を書き出してください。
給料、腰痛、休日、人間関係、設備、教育、将来性のどれが一番大きいのかを整理します。
原因が会社にあるなら、整備士のまま転職することで改善する可能性があります。
原因が体力や仕事内容そのものにあるなら、別職種も比較してください。
まとめ:整備士の仕事ではなく、自分の働き方の将来性を考える
EVや自動運転が普及しても、整備士の仕事がすぐになくなる可能性は低いです。
ただし、仕事の内容は確実に変化しています。
電子制御化によって診断機の情報は増えていますが、最終的な判断には知識と経験が必要です。
その一方で、症状が再現しなければ診断できない故障や、これまでの経験だけでは原因を予測しにくい故障も増えています。
問題は、難しくなる仕事に対して、給料、教育、設備が追いついているかです。
整備士を続けるべきか迷っている方は、次の順番で考えてください。
- 腰痛や体力面で10年後も続けられるか
- 新技術を学べる会社か
- 技術や資格が給料へ反映されるか
- 工場長や管理職を目指したいか
- 整備経験を別職種で活かせないか
整備や故障診断が好きで、教育や設備が整った会社にいるなら、急いで整備士を辞める必要はありません。
整備の仕事は好きでも、現在の会社の給料や環境に問題があるなら、整備士のまま勤務先を変える選択肢があります。
腰痛や体力面に限界があり、管理職にも魅力を感じないなら、整備経験を活かせる別職種も比較するべきです。
私は整備士として12年間働いた後、自動車営業へ移りました。
整備士時代の約500万円から年収1,000万円になりましたが、転職して得られたのは収入だけではありません。
整備経験を、お客様への説明、提案、保険、車選びのサポートへ変えられたことが大きな変化でした。
整備士を辞めることが正解なのではありません。
体力や給料に不安がなく、技術を学べる環境があるなら、整備士を続ける価値はあります。
しかし、腰痛を我慢し、難易度だけが上がり、給料が変わらない環境に残り続ける必要もありません。
ここまで読んでも「残るべきか、転職すべきか」と迷っているなら、今すぐ退職する必要はありません。
まずは、今の会社以外にどのような条件や仕事があるのかを確認してください。
選択肢を知ったうえで現在の会社に残ると決める方が、何も比較せずに働き続けるより後悔は少なくなります。
(参照日:2026/06/30)


