自動車整備士は何歳まで働ける?50代・60代の実態と長く続ける判断基準

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※2026年10月28日時点で確認した公表資料と、筆者の整備・検査・工場管理の実務経験をもとにしています。

「自動車整備士は何歳まで続けられるのだろう」

「50代になっても、今と同じようにタイヤ交換や重整備を続けるのか」

「60歳まで今の働き方をするのは厳しそう」

長く整備の現場で働いていると、この先の体力や働き方が気になることがあります。

結論からいうと、自動車整備士という仕事に、一律の年齢上限はありません。60歳を過ぎて現場で働いている人もいます。

ただし、会社の定年や再雇用の条件は別に確認する必要があります。

また、「整備士として働き続けること」と「今と同じ現場作業を続けること」も別です。

私はディーラーで整備士、検査員、工場管理などを経験してきました。

私が見てきた職場では、50代以降も一日中、現場作業だけを担当する人はほとんどいませんでした。フロントや検査、若手指導、工場管理などへ仕事の比重を移す人が多くいました。

一方、個人経営のモータースでは、60歳を過ぎても現場で整備を続けている人もいました。

大切なのは、50代・60代でどんな役割を担いたいか、そして今の会社でその働き方ができるかです。

この記事では、統計と私の実体験を分けながら、整備士を長く続けるための判断基準を整理します。

  1. 自動車整備士は何歳まで働ける?整備要員の平均年齢は47.7歳
  2. ディーラーでは50代以降に役割を変える人もいる
    1. 身体への負担を考えて働き方を調整する
    2. 収入や昇進を考えてフロントへ進む人もいる
  3. 50代以降は現場・フロント・検査・管理の比重を考える
    1. フロント・検査員なら負担がなくなるわけではない
    2. 現場で技術を追求する道もある
  4. 現場を長く続けるために考えたいのは診断・判断・指導の力
    1. すべて自分で作業せず、若手へ技術を引き継ぐ
    2. 経験に加えて、新しい技術を学び続ける
  5. 60歳を過ぎても働ける?定年後は雇用条件まで確認する
    1. 65歳までの雇用確保と、70歳までの就業機会確保は違う
    2. 再雇用後の仕事内容・給与・勤務時間も確認する
  6. 長く続けられる会社かを判断する5つの基準
    1. 今いる50代・60代の先輩を見る
    2. 40代から希望する役割を考えておく
  7. 整備士を続けるか、会社を変えるかを分けて考える
  8. 他社を見るなら年収だけでなく仕事内容と対象年齢を確認する
    1. 求人票の職種名だけで判断しない
    2. 相談先も自分の年齢・希望職種に合うかを見る
  9. よくある質問
    1. 自動車整備士は50歳でも続けられますか?
    2. 60歳を超えても整備士として働けますか?
    3. 50代になったらフロントへ移る必要がありますか?
    4. 何歳から将来の働き方を考えるといいですか?
  10. まとめ|「何歳まで」より50代・60代でどう働くかを考える

自動車整備士は何歳まで働ける?整備要員の平均年齢は47.7歳

日本自動車整備振興会連合会の「令和7年度 自動車特定整備業実態調査」によると、整備要員の平均年齢は、自家を除く全体で47.7歳です。

業態 整備要員の平均年齢
専業 53.0歳
兼業 49.0歳
ディーラー 37.9歳
全体(自家を除く) 47.7歳

出典:日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」
調査時点:2025年6月30日

ここでいう「専業」は、自動車整備業の売上高が総売上高の50%を超える事業場です。「自家」は、主として自社が保有する車両を整備する事業場を指します。

注意したいのは、この数字が国家資格を持つ自動車整備士だけではなく、整備要員全体の平均年齢だということです。

また、平均年齢だけでは、50代・60代が何人いるか、どのような作業を担当しているかまでは分かりません。ディーラーの平均年齢が低い理由も、この数字だけでは判断できません。

専業では平均53.0歳となっていますが、それが「誰でも53歳まで今と同じ作業を続けられる」という意味ではありません。

業界全体の年齢構成と、自分が無理なく働ける条件は、分けて考える必要があります。

ここからは、私が勤務したディーラーなどで見てきた、年齢を重ねた整備士の働き方をお伝えします。

ディーラーでは50代以降に役割を変える人もいる

私が見てきたディーラーでは、年齢や経験を重ねるにつれて、現場作業以外の仕事を担当する人が多くいました。

たとえば、フロントを経験して工場長へ進む人や、検査員業務を中心に担当する人です。

もちろん、50代になったら工具を持たなくなるわけではありません。点検や車検を担当することもあれば、忙しいときに現場を手伝ったり、重整備をしたりする人もいました。

変わるのは、自分で作業する時間と、判断・接客・指導・管理をする時間の割合です。

身体への負担を考えて働き方を調整する

整備士は、身体を使う仕事です。

タイヤを持つ、中腰で作業する、重い部品を脱着する。こうした作業を何年も続けます。

私が働いていた職場にも、年齢を重ねても身体を鍛えながら現場を続けている人はいました。ただし、体力や腰への負担には個人差があります。

「50歳だから無理」とも、「経験があるから大丈夫」とも言い切れません。

重量物を一人で持たない、補助機器を使う、複数人で作業するなど、負担を調整できる環境も重要です。

すでに腰痛などで仕事に支障が出ている場合は、将来の年齢より、今の身体の状態から働き方を考える必要があります。

▶ 整備士の腰痛が限界…続けるべき?転職すべき?後悔しない判断基準

収入や昇進を考えてフロントへ進む人もいる

もう一つは、将来の収入や役職です。

私が見てきたディーラーでは、フロントで顧客対応や作業調整を経験し、その後、工場長などの管理職へ進む人がいました。

本人が希望する場合に加えて、会社から将来の役割を見据えて勧められるケースもありました。

フロントへの異動は、整備経験を顧客対応や現場との調整に活かすキャリアでもあります。

ただし、異動すれば必ず収入が上がるわけではありません。役職や給与の仕組みは会社によって違うため、担当業務とあわせて給与・手当も確認しておきたいところです。

50代以降は現場・フロント・検査・管理の比重を考える

将来の働き方は、「管理職になるか、現場に残るか」の二択とは限りません。

検査や故障診断を担当しながら若手を教えるなど、複数の役割を組み合わせる働き方もあります。

役割 整備経験を活かす場面 確認したい負担・条件
現場整備・故障診断 症状の整理、原因の切り分け、修理の判断 重作業の割合、設備、作業分担
サービスフロント 顧客への説明、現場への伝達、見積もりや日程調整 顧客対応、苦情対応、業務量
自動車検査員 基準に沿った検査や適否の判断 必要な資格・選任、検査の責任、整備との兼務
若手指導 作業の確認、診断の考え方や注意点の共有 指導時間の確保、評価への反映
工場長・工程管理 作業配分、進捗や品質の管理 人員調整、納期対応、管理範囲

フロント・検査員なら負担がなくなるわけではない

現場作業の比率が下がっても、別の負担があります。

フロントは、お客様の要望と現場の作業状況を調整する立場です。修理内容や費用の説明、納期の調整、苦情対応などを担うこともあります。

検査員には、基準に沿って検査し、適否を判断する責任があります。会社によっては、検査業務と現場整備を兼務します。

そのため、肩書きだけで「身体が楽になる」「長く続けられる」とは判断できません。

実際の担当業務、兼務の範囲、残業、給与まで確認して、自分に合うかを考えることが大切です。

現場で技術を追求する道もある

私が見てきた中には、フロントや管理職より、車に触れる仕事を続けたい人もいました。

故障診断や整備技術を高めることに、やりがいを感じる人です。

現場を続けたいという希望があるなら、その道も考えられます。ただし、本人の希望だけでなく、会社に技術を評価する仕組みや、負担を調整できる体制があるかも重要です。

自分が何をしたいかと、会社でどんな働き方ができるか。その両方を確認する必要があります。

現場を長く続けるために考えたいのは診断・判断・指導の力

若いころは、点検や車検を何台終えたかという作業量が目立つことがあります。

しかし、経験を積んだ整備士の役割は、台数をこなすことだけではありません。

  • 症状から点検する場所を絞る
  • 診断結果をもとに、次に何を確認するか考える
  • 若手が行った作業を確認する
  • 故障原因や修理内容をフロントへ説明する
  • 後輩に診断の考え方を教える

こうした場面にも、これまでの経験を活かせます。

すべて自分で作業せず、若手へ技術を引き継ぐ

私が見てきた現場でも、ベテランがすべて自分で作業するのではなく、若手に任せて、横で確認しながら技術を引き継ぐ場面がありました。

作業を任せるときも、相手の技量に応じた分担と確認が前提です。

難しい仕事をただ渡すのではなく、どこに注意するのか、なぜその順序で点検するのか、どの状態なら作業を止めて相談するのかまで伝えることに、経験が活きます。

自分の作業量だけでなく、周囲が安全かつ確実に作業できるよう支えることも、ベテランの役割になります。

経験に加えて、新しい技術を学び続ける

経験が長ければ、それだけで将来の車にも対応できるわけではありません。

電子制御や、カメラ・レーダーを使う先進運転支援システム(ADAS)、ハイブリッド車・EVなどへの理解も必要になります。

これまでの経験に、新しい知識と教える力を重ねていく。現場を続けたい人にとって、準備しておきたい方向の一つです。

そのためには、本人の意欲に加えて、研修や診断機器など、学べる環境が会社にあるかも確認したいところです。

▶ 整備士の将来性は?EV・電子制御化で変わる仕事と学べる職場の選び方

60歳を過ぎても働ける?定年後は雇用条件まで確認する

60歳になったら、一律に整備士を辞めなければならないわけではありません。

私自身、個人経営のモータースで、60歳を過ぎても現場で整備を続ける人を見てきました。

ただし、働き続けられる年齢や条件は、勤務先の制度によっても変わります。

65歳までの雇用確保と、70歳までの就業機会確保は違う

厚生労働省によると、65歳未満の定年を定めている事業主には、65歳までの雇用を確保するため、次のいずれかの措置が義務付けられています。

  • 65歳までの定年の引き上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年制の廃止

継続雇用制度は、原則として希望者全員を対象とする必要があります。

一方、70歳までの就業機会確保は努力義務です。70歳定年が一律に義務化されているわけではありません。

出典:厚生労働省「高年齢者の雇用」

再雇用後の仕事内容・給与・勤務時間も確認する

雇用を続ける制度があることと、自分に合う条件で働けることは別です。

会社には、次の点を確認しておきたいところです。

  • 定年後に担当する仕事と、現場作業の割合
  • 再雇用後の給与・賞与・資格手当
  • 勤務日数・勤務時間
  • 契約期間と更新の条件

「65歳まで働ける」と聞いていても、そのときの仕事内容や収入を知らなければ、生活を含めて続けられるか判断できません。

何歳まで在籍できるかと、その条件で働き続けたいかを、セットで考えることが大切です。

長く続けられる会社かを判断する5つの基準

同じ50代でも、重整備を一人で任され続ける職場と、設備や作業分担で負担を調整できる職場では、働き方が違います。

今の会社で続けられそうか考えるときは、次の5つを確認すると整理しやすくなります。

判断基準 確認すること
① 先輩の働き方 50代・60代は、実際にどんな仕事と勤務時間で働いているか
② 役割を変える道 検査・診断・フロント・指導・管理へ仕事の比重を変えられるか
③ 身体の負担を調整する体制 補助機器、複数人での作業、作業分担があるか
④ 経験の評価 診断・検査・指導の仕事が、給与や評価に反映されるか
⑤ 定年後の条件 希望する仕事と、納得できる収入・勤務条件があるか

今いる50代・60代の先輩を見る

特に参考になるのは、今いる50代・60代の先輩です。

どのくらい現場へ入っているか。検査やフロントを兼ねているか。無理な作業を一人で抱えていないか。

肩書きだけでなく、実際の一日の働き方を見ると、自分の将来を考える材料になります。

希望に近い働き方をしている人がいれば、その役割へ進むまでにどんな経験を積んだのかを聞いてみるのも一つです。

一方、参考になる先輩がいない場合は、将来の役割や再雇用後の仕事について、会社へ確認する必要があります。

40代から希望する役割を考えておく

将来を考え始める年齢に決まりはありません。ただ、40代頃から次の役割を考えておくと、必要な経験を積む時間を取りやすくなります。

フロントを希望するなら、説明や調整の経験。

現場を続けたいなら、故障診断や新技術の学習。

若手指導を担いたいなら、作業を任せて確認し、判断の理由を伝える経験です。

まずは自分の希望を整理し、上司との面談などで、会社にどんな道があるかを確認するといいでしょう。

40代から転職も含めて考えたい方は、こちらで整理しています。

▶ 40代整備士の転職は厳しい?現場を続けるリスクと現実的な転職先7選

整備士を続けるか、会社を変えるかを分けて考える

「今の働き方を60歳まで続けるのは難しそうだ」

そう感じても、それだけで整備士を辞めると決める必要はありません。

整備は好きでも、今の会社では年齢を重ねても重作業中心で、役割を変える道がない。この場合は、仕事内容や会社の体制が合っていない可能性があります。

一方、現場以外の役割も含めて、整備業の仕事が自分に合わないと感じるなら、別の職種を検討する理由になります。

考えるときは、次の順序で分けると整理しやすいです。

  1. 今の会社で、担当業務や作業量を調整できるか
  2. 別の会社で、希望する整備の仕事を続けられるか
  3. 整備経験を活かして、別の職種へ移りたいか

今の会社への不満と、整備士という仕事への気持ちは、分けて考えることが大切です。

「続ける」「会社を変える」「別の仕事へ移る」で迷っている方は、次の記事で判断基準を詳しく整理しています。

▶ 自動車整備士から転職するべき?続ける人・辞める人の判断基準

別の職種も検討したい場合は、サービスエンジニアや設備保全などの仕事内容を比較すると、希望を具体化しやすくなります。

ただし、異業種でも身体を使う仕事や、新たな知識・資格が必要な仕事はあります。「整備士を辞めれば負担が減る」と決めつけず、実際の業務を確認する必要があります。

▶ 整備士の転職先おすすめ10選|経験を活かせる仕事と後悔しない選び方

他社を見るなら年収だけでなく仕事内容と対象年齢を確認する

社内での調整が難しいと分かった場合は、他社の求人を見ることも判断材料になります。

目的は、自分の経験で、身体の負担・収入・やりたい仕事をどこまで両立できるか確かめることです。

求人票の職種名だけで判断しない

求人を見るときは、年収に加えて、次の条件も比較します。

  • 重整備や重量物を扱う作業の割合
  • 検査・診断・フロントと現場整備の兼務
  • 残業と年間休日
  • 資格手当や役職手当
  • 技術や若手指導の評価
  • 定年と再雇用後の条件

「フロント募集」「検査員募集」という職種名だけでは、現場作業の量までは分かりません。

求人票で分からない部分は、応募や相談の際に確認が必要です。

相談先も自分の年齢・希望職種に合うかを見る

転職エージェントへ相談する場合も、得意な職種や地域、対象層が自分に合うかを先に確認しておきます。

50代・60代で希望に合う求人を紹介してもらえるかは、サービスと条件によって異なります。

次の記事では、まだ転職を決めていない段階での相談の考え方と、各サービスの違いを整理しています。若年層向けのサービスも含むため、対象層と紹介可能な求人を確認したうえで検討するといいでしょう。

▶ 整備士を辞めたい人向け転職エージェント3選|まだ転職を決めていなくても使える相談先

比較した結果、「今の会社で続ける」と判断しても構いません。

他社の条件を知ることは、転職するためだけでなく、自分が今の会社に求めたい条件を整理する材料にもなります。

よくある質問

自動車整備士は50歳でも続けられますか?

50歳という年齢だけで、続けられなくなるわけではありません。

現場整備のほか、検査・診断・フロント・若手指導・管理など、経験を活かす役割があります。

ただし、自分に合う働き方ができるかは、身体の状態と、会社の業務内容や設備、作業分担によって変わります。

60歳を超えても整備士として働けますか?

働いている人はいます。私も、個人経営のモータースで、60歳を過ぎて現場作業を続ける人を見てきました。

勤務先の定年・再雇用制度に加えて、担当業務、給与、勤務時間、契約更新の条件を確認することが大切です。

50代になったらフロントへ移る必要がありますか?

必ず移る必要はありません。現場整備や故障診断を続けたい人もいます。

一方、フロントへ移っても、顧客対応や調整などの負担があります。年齢だけで決めず、本人の希望と実際の業務内容を照らし合わせて考えるといいでしょう。

何歳から将来の働き方を考えるといいですか?

決まった年齢はありません。40代頃から希望する役割を考えておくと、必要な経験や学習を準備しやすくなります。

すでに身体の負担が大きい場合は、50代になるのを待たず、今の担当業務や作業量を相談することが先になります。

まとめ|「何歳まで」より50代・60代でどう働くかを考える

自動車整備士という仕事に、一律の年齢上限はありません。

ただし、今と同じ現場作業を何歳まで続けられるかは、身体の状態や会社の体制によって変わります。

私が見てきたディーラーでは、経験を重ねるにつれて、フロント・検査・若手指導・工場管理などへ仕事の比重を移す人がいました。一方、60歳を過ぎて現場整備を続ける人もいました。

将来を考えるときに確認したいのは、次の3点です。

  • 自分は50代・60代でどんな仕事をしたいか
  • 今の会社で、その役割と無理のない作業分担を実現できるか
  • 定年後も、仕事内容と収入・勤務条件に納得できるか

今の会社で希望を実現しにくい場合も、会社や担当業務を変える選択肢があります。

年齢だけで結論を出す前に、自分が続けたい仕事と、今の会社でできる働き方を照らし合わせてみてください。

「今の会社で続ける」「別の会社で整備士を続ける」「別の職種へ移る」を整理したい方は、次の記事で判断基準を確認できます。

▶ 自動車整備士から転職するべき?続ける人・辞める人の判断基準


参考資料

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