
整備知識のある営業は “信頼され、選ばれる営業” になる。
来店時の質問で最も多いのが
「車検と点検って何が違うの?」
ここで曖昧に答えると、お客様は
「この営業、頼りない…」
と感じてしまいます。
反対に、整備知識を“わかりやすく、ズバッと”答えられる営業は
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技術質問に即答 → 安心感
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提案の説得力が増す → 成約率向上
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その後のメンテ提案も通りやすい → 顧客満足度向上
整備知識は営業力を底上げする最強スキルです。
車検と点検の違い|一言で説明できればプロ
一言で答えるなら?
「車検=法律基準の検査、点検=故障を防ぐ整備です。」
この一言で信頼が一気にアップします。
すぐ使えるフレーズ
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車検:悪いところ探しではなく「保安基準に適合しているか」の検査
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点検:消耗・緩みを整えて故障を予防する整備
図解の例え
車検=合格証
点検=健康診断
健康診断をサボれば病気が進むのと同じで、
車も点検をしないと安全性は下がります。
ユーザー車検とディーラー車検の違い
結論:ユーザー車検は“今だけの合格”。未来の安全までは見ていない。
▼ユーザー車検(本人車検)
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陸運局で本人が実施
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目的は “現時点で” 保安基準に適合しているかを確認するだけ
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分解整備なし
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故障予防・劣化対策は一切行われない
👉 一言で言うと
「ユーザー車検=今は合格しているだけ」
▼ディーラー車検(整備付き車検)
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整備士が分解し、消耗・劣化・故障予備軍までチェック
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2年後まで安心できる状態へ整える
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メーカー基準の整備・調整・交換が含まれる
👉 一言で言うと
「ディーラー車検=未来の安全まで整える」
営業が使える例え
「ユーザー車検=検査だけ
ディーラー車検=検査+治療+予防」
車検・点検の基本(時期 × 目的)
車検
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新車:3年後
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以降:2年ごと
目的:法令基準の確認
法定点検
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1年点検:29項目
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2年点検:計60項目
目的:故障予防・長期的な安全確保
(出典:国土交通省)
営業が必ず押さえる「三大メンテ」
1. タイヤ|安全に直結する最重要項目
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残溝1.6mm以下は法律上使用不可
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スリップサインが見えたら交換必須
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雨天の制動距離が大きく変わる
例え:靴底の減りマークと同じ。見えたら危険。
(出典:JATMA/ブリヂストン)
2. エンジンオイル|エンジン寿命を決める“血液”
メーカー推奨は 1万〜1.5万km or 1年
ただしこれは
「理想的な走行条件」(長距離・暖気十分・渋滞少)を前提にした目安です。
(出典:JAF)
現場が「5,000km or 半年」を推奨する理由
理由①:近年のエンジンは“汚れやすい傾向”
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直噴化
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EGR増加
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燃費志向の制御
これらにより
カーボンやブローバイ由来の汚れが溜まりやすい
と言われています。
オイルには
汚れを洗浄・分散する作用(清浄分散性)
があるため、汚れが増えるとオイルの仕事量が増え、
劣化が早まりやすいのは事実です。
理由②:走行距離が伸びるほど“洗浄しきれない汚れが蓄積”する
特に
7〜9万km以降になると汚れの堆積が表面化しやすい
という現場感があります。
これはまさに——
「血管にコレステロールが溜まっていく状態」
理由③:ハイブリッド車・PHEVは“白濁(乳化)”しやすい
ハイブリッド系は
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エンジン停止時間が長い
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温度が十分に上がらない
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水分が蒸発しない
という特性から、
オイルに水分が混ざって“ミルクティー状の白濁”が起こりやすい
(多数の整備事例で確認済)
👉 短いサイクルの交換がより重要。
だから「5,000km交換」が最も安全
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エンジン内部の汚れが増えやすい
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オイルの劣化スピードが上がりやすい
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ハイブリッドは白濁しやすい
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7〜9万kmからトラブルが表面化しやすい
総合的に見ると
“半年または5,000km”が現場の最適解。
3. バッテリー|季節で弱りやすい代表部品
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寿命:2〜3年
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夏の酷使→冬に弱る
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セルの弱り・ライトの暗さは要注意
(出典:JAF)
整備用語は“比喩+結論”で伝えるのが最強
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スリップサイン
→「靴底の減りマーク。出たら法的にNGです。」 -
粘度(0W-20)
→「サラサラ度の番号。取説指定が最適解です。」 -
白濁(ハイブリッド)
→「エンジンが温まらないことで湿気が混ざった状態。」
“押し売りゼロ”で自然に通る説明の順番
事実 → リスク → 解決策 → 費用感
この順で話すだけで説得力が段違い。
整備士との連携は営業力を2倍にする
使えるテクニック
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見積書に 技術コメント欄
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点検結果を OK/注意/要交換 の3色表示
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「注意」だけ営業が説明 → 詳細は整備士へ引き継ぐ
よくある質問(Q&A|営業が即答できる版)
Q. 車検だけで安全ですか?
A. 車検は“今の状態が基準に合格しただけ”で、故障予防ではありません。
Q. ユーザー車検はどう?
A. 合格点の確認だけで、整備は入らないため「今だけ安心」です。
Q. オイルは何kmで替える?
A. 一般的には1万〜1.5万kmですが、日本の実走条件では5,000km交換が最も安全です。
Q. ハイブリッドは?
A. 白濁しやすいので、通常車より早めの交換が安心です。
Q. タイヤはいつ交換?
A. 1.6mmで使用不可。3mm以下は相談ラインです。
まとめ
整備の基礎を理解している営業は、
お客様から圧倒的に信頼される存在になります。
車検と点検の違い、ユーザー車検の注意点、
タイヤ・オイル・バッテリーの基礎、
そしてハイブリッド特有のリスク——。
これらを分かりやすく伝えられれば、
お客様の不安は消え、提案の説得力も大きく高まります。
難しい知識は不要です。
**「ポイントを簡潔に説明する力」**が最も価値を生みます。
今日から、車検・点検・オイルの3つだけでも即答できるように。
それだけで営業としての信頼と成約率は確実に変わります。


