
自動車保険における「ドライブレコーダー特約」(以下「ドラレコ特約」)とは、保険会社が専用のドライブレコーダーを貸与・設置し、事故時の映像や運転データを共有できる仕組みの特約です。
保険会社がこのような「通信型ドラレコ」を提供する理由は、事故発生時の状況(時間・場所・衝撃)を即座に把握して初動対応を早めるため、安全運転支援機能(車線逸脱や急ブレーキ警告など)で事故を未然に防ぐため、そして過失割合の争いを映像で明確化して示談をスムーズに進めるためです。
つまり「保険会社と契約者双方の安心・効率化」を目的として導入されています。
ドラレコ特約が注目される新たな理由
ここ数年、真夏の猛暑によるドライブレコーダーの故障報告が急増しています。
車内が60℃を超える炎天下では、内部バッテリーの膨張、記録媒体(SDカード)の劣化、高温によるフリーズや再起動不良などが多発。
実際、多くのドライバーが「夏の終わりに映像が録れていなかった」といったトラブルを経験しています。
一方、自分で購入したドラレコは、メーカー保証が1〜2年程度、寿命は3〜5年が目安とされています。
保証期間を過ぎて故障した場合は買い替えが必要となり、そのたびに本体費用(1〜3万円前後)や取り付け工賃が発生します。
特に高温環境下での使用が続くと劣化が早まり、実質2〜3年で買い替えになるケースも少なくありません。
つまり、炎天下で使用を続ける環境では「維持費の見えない負担」が大きくなるのです。
その点、保険会社のドラレコ特約では、契約期間中に機器が故障した場合、無償で交換してもらえるケースが多くあります。
ソニー損保やあいおいニッセイ同和損保などでは、自然故障・経年劣化による交換サポートを明示しており、高温によるトラブルにも実質的に対応可能です。
つまり「炎天下で壊れても保険会社が交換してくれる」安心感があり、機器設定やデータ連携も保険会社が代行してくれるため、手間も少なくなります。
加入するメリット
ドラレコ特約を利用することで得られる主なメリットは以下の通りです。
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事故時の映像証拠で過失割合の交渉が有利になる
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衝撃検知による自動通報で初動対応が迅速になる
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運転診断や警告機能による安全運転支援が受けられる
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故障時の交換対応により機器を長期的に安心して使える
従来の「事故対策」だけでなく、「故障保証付きの安全装置」としての価値が加わった点が近年の大きな特徴です。
デメリットや注意点
ドラレコ特約には月額650~850円程度の費用が上乗せされます。
また、通信型のため映像データを保険会社が取得する点でプライバシーに配慮が必要です。
さらに、機器貸与型のため解約時の返却が必要になるケースもあります。
ただし、高温での故障リスクを考慮し、無償交換サポートが受けられる点を踏まえると、長期的には市販ドラレコを買い替えるよりもコストパフォーマンスが高いケースもあります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 夏の暑さでドラレコが壊れた場合、保険会社は交換してくれる?
→ はい。通信型ドラレコ特約では、機器故障時に無償交換できる保険会社が多く、熱による不具合も対象となる場合があります。
Q2. 市販のドラレコを使っている人も特約をつけた方がいい?
→ 通信・自動通報・交換サポートを考慮すると、長期利用や夏季の使用環境では特約の方が安心です。
Q3. ドラレコの寿命はどのくらい?
→ 一般的な目安は3〜5年です。メーカー保証は1〜2年が多く、炎天下では2〜3年で劣化が進むこともあります。
特約を利用すれば、故障時に交換してもらえるため、常に安全な状態で使用できます。
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まとめ
猛暑が続く昨今、ドライブレコーダーの故障リスクは年々高まっています。
「事故のときの安心」だけでなく、「高温時の機器トラブルにも対応してもらえる」ドラレコ特約は、今後のスタンダードになりつつあります。


