試乗車・代車・台車!事故時の保険優先順位

自動車保険の実例から保険を考える
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借りた車で事故をしたら、誰の保険が使える?——これはディーラーや整備工場でもっともトラブルが多いテーマです。
結論から言えば、**どの立場の車に乗っていたか(試乗車/代車/台車/レンタカー)**と、あなたの保険に付いている特約(他車運転特約・臨時代替自動車特約・代車費用特約など)によって、補償の優先順位や支払い可否が大きく変わります。
本記事では、現場経験と保険会社の最新約款をもとに、その補償の境界線をわかりやすく整理
します。
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試乗車で事故をした場合

なぜ販売店の保険が優先されるのか

多くの販売店の**試乗車には「不特定多数が運転できる任意保険(対人・対物・人身傷害など)」**が付いています。
したがって、相手方への賠償は販売店の保険で対応されるのが基本です。
ただし、車両保険が付いていない/免責が設定されているケースも多く、修理費用の一部を自己負担することもあります。

📌 行動ポイント
試乗前に「対人・対物・人身・車両(免責額)」の有無を書面で確認しておきましょう。
試乗前説明がない販売店の場合、事故後に「聞いていない」とトラブルになるケースがあります。

代車と台車の違い

「代車(だいしゃ)」と「台車(だいしゃ)」は似ていますが、保険の扱いはまったく異なります。
この違いを理解しておかないと、事故時に補償を受けられないリスクがあります。

項目 代車(だいしゃ) 台車(だいしゃ)
意味 修理・車検などでお客様へ一時的に貸す車 整備工場や販売店が業務で使う自社保有の車
所有者 顧客対応用・レンタカー登録車もあり 法人(工場・販売店)所有の業務車
使用者 顧客(修理中の一時利用) スタッフ(業務利用)
使用期間 一時的 継続的
保険の扱い 「臨時代替自動車特約」や「代車費用特約」で補償可 業務車扱いのため、臨時代替・1日保険の対象外
1日保険加入 個人所有車なら可 法人所有車のため加入不可

💡 ポイントまとめ

  • 代車=お客様のための一時貸出車 → 臨時代替・代車費用特約が使える可能性あり。

  • 台車=業務用車 → 法人保険で管理、個人の保険ではカバーされない場合が多い。
    同じ“貸し車”でも所有者と使用目的が異なるため、適用される保険も違うのです。

代車で事故をした場合(修理中の貸出車)

なぜ代車費用特約が重要なのか

代車費用特約(レンタカー費用補償特約)は、
事故や故障で車を修理している間に発生する代車レンタル費用を補償する特約
です。

この特約を使っても、等級ダウンにはなりません。
理由は、代車特約が「費用保険」に分類されており、保険事故としてカウントされないためです。
ただし、車両保険を併用して修理費を支払った場合は、車両保険部分が等級ダウンの対象となります。

ケース 等級ダウンの有無 理由
代車費用特約のみ使用 ❌ なし 費用保険扱いで事故件数にカウントされない
車両保険と併用 ✅ あり 修理費支払いで事故登録される
他車運転特約使用 ✅ あり 他人の車を補償するため事故扱い

📌 行動ポイント
証券で「代車費用特約」の有無を確認し、
補償日数(例:事故30日/故障15日)や日額(例:5,000円〜10,000円)をチェックしておきましょう。

修理中の事故と臨時代替自動車特約

修理中に借りた代車で事故を起こした場合、
あなたの保険に臨時代替自動車特約が付いていれば、
その代車を“自分の車の代わり”として補償を受けられます。

ただし、他車運転特約と臨時代替特約のどちらが優先されるかは保険会社によって異なるため、
誤って判断すると等級ダウンや自己負担増加につながることがあります。

📌 行動ポイント
修理入庫前に工場へ「臨時代替扱いになるか」を確認し、
あわせて自分の保険会社にも適用順を電話確認しておきましょう。

台車を借りた場合(工場・法人所有車)

なぜ工場側の保険が優先されるのか

工場や販売店が業務で使う「台車」は、
一般的にその会社が加入している業務用自動車保険で補償されています。
そのため、事故が起きた際は工場側の保険が優先されます。

あなたの保険の「他車運転特約」でカバーすることも可能ですが、
その場合は等級ダウン対象になります。
つまり、「自分の保険を使わない」ほうが結果的に有利なことが多いのです。

📌 行動ポイント
台車は法人名義が多く、1日保険の対象外
貸し出し前に「どの保険を適用するか」「免責金額はいくらか」を明確にしておきましょう。

契約前に確認しておく3つのポイント

  1. 利用目的と使用者を明確にする
     → 常時使用者扱いになると特約が使えない。

  2. 免責金額を確認
     → 相手保険の免責5万/10万/20万などを比較。

  3. 証券の特約欄をスマホで保存
     → 出庫前に工場や販売店と「どの保険を優先するか」合意を取る。

迷ったときの“適用順”クイック指針

シーン 優先される保険 注意点
レンタカー レンタカー会社の保険(まず適用)+不足分を自分の他車運転特約で補填可 レンタカー会社の保険で収まれば等級ダウンなし。不足分を自分の保険で補う場合のみ等級ダウン。
修理代車 臨時代替 or 他車運転(会社により異なる) 代車費用特約は等級ダウンなし。適用順を要確認。
台車(法人・工場車) 工場・法人側の業務保険 1日保険不可。免責・責任範囲の明示が重要。
試乗車 販売店の試乗車保険 車両免責に注意。説明書面の有無を確認。

Q&A

Q1. 代車費用特約を使うと等級は下がりますか?
A1. いいえ。代車費用特約のみの使用では等級ダウンしません。
ただし、車両保険を同時に使った場合は等級ダウンの対象になります。

Q2. レンタカーで事故をしたらどうなりますか?
A2. まずレンタカー会社の保険で対応されます。免責や休業補償の自己負担がある場合、不足分を自分の他車運転特約で補うことも可能です。
他車運転特約を使った場合のみ等級ダウンの対象になります。

Q3. 工場の台車を借りた場合も代車扱いになりますか?
A3. なりません。台車は業務車扱いで、臨時代替や1日保険の対象外です。

Q4. 試乗車で事故をした場合は?
A4. 試乗車には販売店の保険が付帯していますが、免責設定があるため修理費の一部を自己負担する可能性があります。

チェックリスト(保存推奨)

☑ 自分の証券を撮影し、他車運転/臨時代替/代車費用特約を確認
☑ 相手(販売店・工場)の保険内容・免責金額を確認
☑ 台車は1日保険不可を理解
☑ 出庫前に「どの保険を使うか」を書面で合意

まとめ

  • 代車=お客様のための一時貸出車(臨時代替・代車特約が対象)

  • 台車=工場・販売店の業務車(法人保険扱い・1日保険不可)

  • レンタカー=会社の保険が優先。不足分を自分の特約で補うと等級ダウン。

  • 代車費用特約のみの使用では等級ダウンしない。

出庫前に「保険の適用範囲」「免責」「優先順」を確認しておけば、
万一の事故でも慌てず対応できます。
これが**現場で本当に役立つ“補償の境界線”**です。
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