
「整備士から営業へ転職して、本当にやっていけるのか?」
整備士として長く働いてきた人ほど、営業未経験で職種を変えることに不安を感じると思います。
結論からいうと、整備士経験は自動車営業で大きな武器になります。
私自身、33歳・整備士経験12年のときに会社の指示で営業へ異動しました。
最初は不満もありましたが、
「どれだけ技術があっても、仕事を取る力がなければ、その技術をお客様へ届けられない」
と考え、経験として受け入れました。
その後15年間営業を続け、年間販売台数・利益で社内1位、年間販売台数で全国表彰を経験しています。
ただし、営業になってすべてが良くなったわけではありません。
収入は増えましたが、実質的な休日は減りました。
この記事では、
- 整備士経験が営業でどう活きるのか
- 元整備士の営業は実際にいるのか
- 未経験からどう転職を進めるのか
- 求人票・面接で何を確認するのか
- どんな整備士は営業へ行かない方がいいのか
- 私なら何を優先して会社を選ぶのか
まで、整備士12年・営業15年の実体験をもとに解説します。
「整備士がきついから営業へ逃げる」のではなく、「今までの経験を別の形で活かせるか」で判断してください。
結論|整備士から営業へ転職できる。ただし全員にはすすめない
整備士から自動車営業へ進むことは可能です。
特に自動車業界では、
- 車の構造
- 故障
- 修理
- 点検・車検
- メンテナンス
- お客様への説明
といった整備経験を、そのまま営業へつなげられる場面があります。
ただし、
「整備士経験がある=営業に向いている」
ではありません。
営業では車の知識だけでなく、
- お客様の話を聞く
- 自分から行動する
- 商談を作る
- 数字を追う
- 失敗の原因を考える
- 購入後も継続してフォローする
ことが求められます。
だから最初に考えてほしいのは、
「営業へ転職できるか」ではなく、「自分は営業という働き方を続けられそうか」
です。
整備士から営業へ転職する場合、未経験でも挑戦できる可能性はあります。
ただし、勢いだけで応募するのは危険です。
特にディーラー営業は、会社によって給与体系・教育体制・休日の実態・整備士経験の評価が大きく変わります。
営業に転職して後悔しないためには、自分が向いているタイプなのか、どんな会社を選ぶべきなのかを先に整理しておくことが大切です。
整備士からディーラー営業に転職して後悔する人と、年収アップを狙える人の違いはこちらで詳しく解説しています。
▶整備士からディーラー営業はやめとけ?後悔する人と年収が上がる人の決定的な違い
ディーラーでは元整備士の営業も珍しくない
「整備士から営業へ行くのは特殊なキャリアなのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、私が働いてきたディーラーでは、元整備士の営業スタッフは珍しくありませんでした。
実際に、整備士から営業へ移って成果を出している人もいます。
これは、整備士として身につける知識と自動車営業の仕事に重なる部分が多いからです。
特に、
「営業未経験」ではあっても「自動車業界未経験」ではない
ことは強みになります。
ただし、これは私が実際に働いてきた現場での経験です。
「元整備士営業が業界全体で何%いる」という統計を示しているわけではありません。
それでも、少なくとも私が働いた環境では、整備士→営業は珍しいルートではありませんでした。
整備士経験が営業で活きる4つの理由
私が営業へ移って感じたのは、整備知識そのものより、「その知識を使ってお客様の不安を減らせること」が大きな強みになるということです。
知識を持っているだけでは売れません。
整備知識 → 不安の解消 → 信頼 → 提案
までつなげて初めて、営業で武器になります。
1.お客様の不安を論理的に説明できる
車を購入するお客様は、
「この車は長く乗れる?」
「この装備は本当に必要?」
「今の車にまだ乗って大丈夫?」
など、さまざまな不安を持っています。
整備士時代に車の構造や故障を理解していたため、私は営業になってからも感覚ではなく理由を説明できました。
ただし、
「この部品はこういう構造です」
と専門知識を話すだけでは不十分です。
営業では、
「だから、お客様の使い方ならこういうメリットがあります」
と判断材料へ変える必要があります。
重要なのは、自分が何を知っているかではなく、お客様が何を知りたいかです。
2.故障時の第一報に対応しやすい
営業は、車を販売したら終わりではありません。
納車後に、
「警告灯が点いた」
「変な音がする」
「このまま走って大丈夫?」
と連絡を受けることがあります。
私は整備経験があったため、最初に状況を聞き、適切な案内につなげやすいという強みがありました。
もちろん、最終的な故障診断や修理は整備部門が行います。
それでも、お客様が一番不安な最初の段階で、
「まず何をすればいいのか」
を案内できることは信頼につながりました。
3.点検結果から乗り換え提案につなげられる
点検・車検後の結果を整備士と共有すると、
- 今後修理費が増えそうか
- 消耗部品の交換が重なりそうか
- 今の車を乗り続けるメリットがあるか
- 乗り換えを検討する時期なのか
を判断できます。
整備経験があれば、単純に、
「新しい車を買いませんか?」
と提案するのではなく、
「修理して乗り続ける場合」と「今乗り換える場合」
を比較して説明できます。
これも整備士経験が営業で活きた場面の一つです。
4.営業と整備の橋渡しができる
整備士出身の営業には、
営業と整備の両方の言葉が分かる
という強みがあります。
お客様から聞いた症状を整備士へ伝える。
整備士から聞いた点検結果を、お客様に分かる言葉へ直して説明する。
両方を経験していると、この橋渡しがしやすくなります。
整備士経験は商品知識だけではなく、お客様と整備現場をつなぐ力にもなりました。
整備士から営業へ転職する現実的な3ステップ
「営業へ転職してみようかな」と思ったら、いきなり求人へ応募する必要はありません。
私は次の順番で進めることをおすすめします。
Step1|整備士経験を活かせる営業職を絞る
最初から「営業職」という大きな括りで探す必要はありません。
整備経験を活かすなら、まずは、
- 新車ディーラー営業
- 中古車販売
- 自動車部品・用品営業
- 自動車関連の法人営業
など、自動車業界の営業職から比較する方法があります。
理由はシンプルです。
それまで積み上げてきた車の知識を使えるからです。
私は営業へ異動したとき、車について一から覚えることより、
- 契約
- 登録
- 書類
- 法律
- 補助金などの制度
を覚えることに苦労しました。
つまり、
「営業未経験」でも、これまでの12年間をゼロにする必要はありません。
まずは、自分の整備経験を評価してくれる営業職を絞ってください。
Step2|求人票は「年間休日→給与」の順で比較する
気になる求人が見つかっても、すぐ応募しません。
私は次の順番で比較します。
| 優先順位 | 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|---|
| 1 | 年間休日 | 家族との時間・働き方に直結する |
| 2 | 基本給 | 成果が出ない時期の生活を支える |
| 3 | 固定残業代 | 見かけの月給に惑わされない |
| 4 | インセンティブ | 成果が収入へどう反映されるか |
| 5 | 研修制度 | 営業未経験から学べるか |
| 6 | 評価項目 | 車以外のノルマも把握する |
私自身、営業になって収入は増えました。
一方で、実質的な休日は減りました。
だから今選び直すとしても、モデル年収より先に年間休日を確認します。
Step3|面接で求人票に書かれていないことを確認する
条件を比較して応募先を絞ったら、面接では求人票から分からないことを聞きます。
私なら次の4つを確認します。
「整備士経験は営業職の評価や給与に反映されますか?」
「営業未経験者には、どのような研修がありますか?」
「車両販売以外では、どのような項目が評価対象になりますか?」
「販売目標を達成できなかった場合、どのようなフォローや指導がありますか?」
特に3つ目は重要です。
私が経験した会社では、販売台数だけではなく、
- 新規保険
- JAF
- ボディーコーティング
- ドライブレコーダー
- 点検パック
- 車検・点検入庫
- クレジット
- 下取り
なども目標になっていました。
「車を月○台売ればいい」と思って入社すると、想像以上に追う数字が多い可能性があります。
だから、販売台数だけではなく、
「何を評価される会社なのか」
まで確認してください。
転職先は「年間休日→給与」の順番で見る
求人条件のなかでも、私が特に重視するのは年間休日と給与です。
人間関係や店舗の雰囲気は、求人票だけでは分からない部分があります。
だからこそ、応募前に比較できる数字は妥協せずに確認します。
年間休日|私なら最優先する
私の場合、整備士から営業へ異動しても、会社が定める休日日数そのものは変わりませんでした。
しかし、実際には体感として休日が減りました。
営業になると、
- お客様への連絡
- 商談準備
- 書類
- 残っている仕事
を休日に片付けることがありました。
会社上は休日でも、仕事から完全に離れられない日が増えたということです。
だから求人票を見るときは、
- 年間休日
- 定休日
- 有給休暇
- 土日に休めるのか
- 休日の顧客対応があるのか
まで確認してください。
私は営業で収入が上がった経験があります。
それでも、今選び直すなら最初に年間休日を見ます。
収入は上げられる可能性がありますが、家族との時間まで取り戻せるとは限らないからです。
給与制度|基本給とインセンティブを分けて見る
次に確認するのが給与です。
見るのは、
- 基本給
- 固定残業代
- インセンティブ
- 賞与
- どの成果が給与へ反映されるのか
です。
私の場合、営業へ異動しても基本給は整備士時代と変わりませんでした。
そのため、営業になった直後に収入が下がることはありませんでした。
その後、販売実績が上がるにつれて収入も増えていきました。
整備士時代の年収は約500万円。
営業へ異動してから15年間成果を積み上げ、販売台数・利益で社内1位になるまで働いた結果、年収は約2倍になりました。
ただし、これは私自身の実例です。
「営業へ転職すれば年収が2倍になる」という意味ではありません。
求人を見るときはモデル年収より、
「成果が出ない時期でも、基本給で生活できるか」
「成果を出したとき、どの程度給与へ反映されるか」
を確認してください。
整備士から営業へ行って後悔しやすい3パターン
1.「整備がきついから」だけで営業を選ぶ
営業になれば、重い部品の脱着や中腰作業など、整備特有の身体負担は減る可能性があります。
一方、販売目標・顧客対応・数字管理などの負担が増えます。
仕事が楽になるのではなく、負担の種類が変わると考えてください。
2.年収だけで会社を選ぶ
高いモデル年収だけで判断せず、
- 年間休日
- 基本給
- 固定残業代
- インセンティブ
まで比較してください。
私自身、収入は増えましたが、実質的な休日は減りました。
年収と休日は必ずセットで見るべきです。
3.「車に詳しいから売れる」と考える
整備知識は武器になります。
しかし、それだけでは売れません。
重要なのは知識を話すことではなく、お客様の不安や疑問を解決するために使うことです。
私ならこんな整備士には営業をすすめない
すべての整備士に営業をすすめるつもりはありません。
特に、
決められた手順を正確にこなし、安定した働き方に満足している人
は、無理に職種を変える必要はないと思います。
営業では、
- 自分でお客様へ連絡する
- 商談を作る
- 提案内容を考える
- 数字を管理する
- 失敗の原因を考える
- 次の行動を変える
など、自分で考えて動く場面が増えます。
今の働き方に満足しているなら、それは悪いことではありません。
逆に、
- 向上心がある
- 自分で考えて仕事を動かしたい
- 人から頼られることがうれしい
- 感謝されることにやりがいを感じる
- 成果を収入につなげたい
という人なら、営業を検討する価値があります。
営業は整備士の上位職でも、逃げ道でもありません。
求められる能力が違う、別の仕事です。
営業へ転職する前に「実際の働き方」まで確認する
整備士から営業へ転職する場合、「営業に向いているか」だけで判断するのは不十分です。
営業に向いていても、会社の働き方が自分に合わなければ後悔する可能性があります。
特に、
- ノルマ
- 休日
- 収入
- 残業
- 人間関係
まで含めて考えてください。
私自身、整備士と営業の両方を経験しましたが、営業へ移れば負担がなくなるわけではありませんでした。
整備士では身体的な負担が大きい。
営業では数字や顧客対応のプレッシャーがあります。
だから、
「整備士がつらいから営業へ行く」
ではなく、
「営業の働き方まで理解したうえで、それでも自分に合っているか」
を判断してください。
整備士から営業へ転職する場合、「営業に向いているか」だけでなく、実際の働き方まで確認しておくことが重要です。
ノルマ・休日・収入・人間関係まで含めて判断したい方は、ディーラー営業はやめとけと言われる理由と後悔しないための判断基準も参考にしてください。
整備士経験を評価してくれる求人を比較する
整備士から営業へ転職するなら、「営業未経験OK」だけで会社を選ばないでください。
見るべきなのは、
- 整備士経験を評価してもらえるか
- 年間休日は今より改善するか
- 基本給はいくらか
- 固定残業代が含まれているか
- どの成果がインセンティブになるか
- 営業未経験者への研修があるか
です。
ただ、こうした条件を1社ずつ調べて比較するのは簡単ではありません。
特に、
「自分の整備士経験なら、どの程度の条件を狙えるのか」
は、自分だけでは判断しにくい部分です。
だから、今すぐ転職すると決めていなくても、転職支援サービスを使って、自分の経験で選べる求人と条件を確認する方法があります。
求人を見た結果、
「今の会社に残った方がいい」
と分かることにも意味があります。
転職するためではなく、今の自分にどんな選択肢があるのかを知るために比較する。
この使い方で十分です。
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整備士から営業への転職でよくある質問
Q1.整備士から営業へ転職する人は珍しいですか?
少なくとも、私が働いてきたディーラーでは珍しくありませんでした。
元整備士の営業スタッフもおり、実際に成果を出している人もいました。
ただし、これは私の現場経験であり、業界全体の割合を示す統計ではありません。
Q2.30代・営業未経験でも転職できますか?
私自身、33歳・整備士経験12年で営業へ異動しました。
重要なのは年齢だけではなく、それまでの経験を営業でどう活かせるかです。
整備知識があっても、営業では契約・書類・登録・制度など新しく覚えることがあります。
Q3.営業へ行くと給料は下がりますか?
会社の給与制度によります。
私の場合、営業へ異動しても基本給が整備士時代と変わらなかったため、最初に収入が下がることはありませんでした。
その後、成果が出るにつれて収入は増えました。
転職時はモデル年収ではなく、基本給とインセンティブを分けて確認してください。
Q4.整備士から営業へ行けば休日は増えますか?
必ずしも増えません。
私の場合、会社上の休日日数は整備士時代と同じでした。
しかし、休日に残っている仕事を片付けることがあり、実質的には仕事から離れられる日が減りました。
だから私は、今会社を選び直すなら年間休日を最優先します。
まとめ|転職することより「何を変えたいのか」を決める
私は33歳・整備士経験12年のときに営業へ異動しました。
最初は不満もありました。
それでも、
「整備技術だけではなく、仕事を取る力も身につけたい」
と考えて営業を経験しました。
その後15年間営業を続け、年間販売台数・利益で社内1位、年間販売台数で全国表彰を経験しています。
収入も増えました。
一方で、実質的な休日は減りました。
だから私は、
「整備士から営業へ行けばすべて良くなる」
とは言いません。
転職前に確認してほしいのは、
- 自分は営業という働き方に向いているのか
- ノルマや休日など、営業の現実を受け入れられるのか
- 今の整備経験なら、どんな条件の会社を選べるのか
です。
そして会社を比較するなら、私はまず年間休日を見ます。
その次に、基本給・固定残業代・インセンティブを見ます。
整備士12年の経験は、営業へ移ったからゼロになったわけではありません。
むしろ私の場合は、お客様への説明、故障時の対応、乗り換え提案、整備部門との連携という形で活きました。
転職することを目的にするのではなく、今まで積み上げた経験を活かして、今より納得できる働き方を選ぶことを目的にしてください。
それが、整備士12年・営業15年の両方を経験した私が一番伝えたいことです。


