
「保険料を安くしたいけど、事故のときに大きな出費は避けたい」——その両立を決めるカギが免責金額(自己負担額)の選び方です。
免責の仕組みを理解し、“知らずに損する設定”を避ければ、同じ補償内容でも年間数千〜数万円の節約が可能になります。
この記事では、免責金額を上手に設定するコツと注意点を、実例を交えてわかりやすく解説します。
免責金額の仕組みを理解する
なぜ免責が設定されているのか
免責とは、修理費のうち一定額を契約者が自己負担し、残りを保険会社が支払う仕組みです。
小規模な修理にまで保険を使うと支払い頻度が増え、保険料が高くなるため、免責を設けることで小口支払いを抑え、保険料を下げる効果が生まれます。
実際、ソニー損保やJA共済なども「免責設定は保険料負担の軽減に寄与する」と明示しています。
相手がいる事故では免責が請求されない場合もある
相手のある事故(対物・対人・もらい事故など)では、相手側の賠償金が免責に優先して充当される仕組みです。
そのため、相手から支払われる金額が免責額を上回る場合、免責分は実際には自己負担にならないケースがあります。
つまり、「自分の過失が少ない事故」では、免責を設定していても実際に支払いが発生しないこともあります。
(例:修理費50万円、免責10万円、相手過失80%の場合 → 相手からの補償40万円が免責に充当され、自己負担0円)
なぜ免責金額が高いと保険料が安くなるのか
免責を高く設定すれば、保険会社の支払いリスクが下がるため、保険料は安くなります。
各社の公式ガイドや比較サイトでも「免責↑ ⇒ 保険料↓」の関係が明記されています(出典:ソニー損保、アクサ損害保険など)。
なぜ免責ゼロは負担が大きいのか
初回免責0円は安心度が高い一方、その分保険料が上がります。
アクサ損保では「0-10万円(増額方式)」のように、初回0円/2回目以降は高額免責という設計でバランスを取っています。
ミニ実例
修理費100万円・免責10万円の場合は自己負担10万円+保険90万円。
免責を5万円に下げれば持ち出しは減りますが、保険料は上昇します。
この“差額”が家計的に許容できるかが判断ポイントです。
自己負担が重くなるケース
なぜ複数回事故で負担が増えるのか
「増額方式」では、同一保険期間内の2回目以降の事故は免責が高くなります(例:0-10万円)。
一方、「定額方式」では回数にかかわらず同額。
違いを理解していないと、2回目以降の負担が想定以上に重くなることがあります。
なぜ自然災害でも免責が発生するのか
台風・洪水・雹・雪害などは車両保険で補償されますが、免責は差し引かれるのが基本です。
地震・噴火・津波は対象外ですが、「地震一時金特約」などの例外があります。
契約前に、災害ごとの補償範囲と免責の有無を必ず確認しましょう。
なぜ軽微な事故でも免責が適用されるのか
こすり傷や小さな凹みなど、修理費が免責額以内なら保険金は出ません。
「数万円程度なら自腹で対応する」と割り切り、免責を高めに設定して保険料を節約するのも現実的です。
適切な免責金額を選ぶ3つのコツ
① 車の使用頻度を考慮する
毎日通勤や長距離走行が多い人は事故リスクが高く、初回免責を低く設定しておくと安心です。
逆に週末ドライバーなら、免責を上げて保険料を下げるのも合理的。
👉 「免責↑ ⇒ 保険料↓」 の原則を意識しましょう。
② 車種や年式で見直す
新しい・高額な車は修理費が高くなる傾向があるため、免責を低めにして初回負担を抑えるメリットが大きいです。
一方、年式が古く市場価値の低い車では、保険料とのバランスを見て免責を高めに設定するのが現実的です。
③ 家計とのバランスを確認する
免責は“事故直後の現金支出”です。
5万円・10万円をすぐに用意できるかを家計の流動性と照らし合わせて判断しましょう。
免責ゼロは安心だが保険料は上がる——このトレードオフを月額換算で比較してみてください。
免責負担を減らす工夫
特約を活用して負担を軽くする
「無過失事故特約(名称は各社異なる)」を付けると、もらい事故(過失0)でも等級を下げずに車両保険を使えるなど、実質負担を抑える効果があります。
また、一般型の車両保険なら当て逃げも対象ですが、限定型(エコノミー)では対象外が多いため注意が必要です。
保険会社ごとに条件が異なる
同じ「免責10万円」でも、初回・2回目の扱い(増額/定額)、当て逃げ・単独事故の補償可否、自然災害の特約有無など、会社や商品で仕様が異なります。
契約前に公式サイトや約款要旨を比較するのが重要です。
契約前にシミュレーションを行う
同じ補償内容でも、免責の組み合わせによって保険料が変わります。
複数社のオンライン見積もりを利用して、「0-10」「5-10」「10-10」などの違いによる年間保険料と持ち出し金額の差を確認しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1:免責金額はいくらに設定するのが一般的ですか?
→ 多くの契約では5万円または10万円が標準です。
走行距離が長い方は5万円、週末利用中心なら10万円が目安です。
Q2:相手がいる事故でも免責はかかりますか?
→ 相手のある事故では、相手側の賠償金が免責に充当されるため、相手からの支払額が免責を上回れば自己負担は実質ゼロになります。
ただし、自損事故や当て逃げなど、相手がいないケースでは通常どおり免責が適用されます。
Q3:自然災害時も免責はかかりますか?
→ 台風・洪水・雪害などでは免責が適用されるのが一般的です。
地震・噴火・津波は対象外ですが、特約で補うことが可能です。
まとめ:免責は“節約レバー”として活用しよう
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免責↑ ⇒ 保険料↓、ただし事故時の持ち出し↑
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増額方式は2回目以降の免責が重くなりやすい
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相手がいる事故では、免責が請求されない場合もある
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自然災害や当て逃げの扱いは会社によって異なる
免責は“なんとなく”ではなく、数字と条件で選ぶのがポイント。
まずは、無料の自動車保険一括見積もりサービスで自分に最適な免責設定を比較してみましょう。


